冷蔵庫の賢い買い方と選び方、注意点のまとめ

2018年2月17日

冷蔵庫の賢い買い方、選び方、注意点をまとめました。
冷蔵庫は10年、20年に一度しか買い替えません。これは自動車と同じくらいのサイクルです。長年使い続けることになるわけですから、慎重に良いお買い物がしたいですよね。


冷蔵庫の消費電力

経済産業省・資源エネルギー庁によれば、真夏のピーク時(14時)なら冷蔵庫は家庭電力の17%(北海道を除く)を占めます。また、エアコンの消費電力は58%なので、この2つで全体の75%を占めます。消費電力の小さい冷蔵庫を買うことは、家庭の電力消費の削減・低減に大きく貢献します。1 (P.93)

下の表を見てください。これを見せて私が何を言いたいかというと・・・。

  • 冷蔵庫の容量と電気代は正比例しない
  • 小さい冷蔵庫は容量が小さいのに電気代は高い
  • 容量あたりでは大きい冷蔵庫のほうが電気代はお得
  • ちょっと高くても省エネの大きい冷蔵庫を買うべき
冷蔵庫の容量別の消費電力
容量 年間消費電力 年間電気代目安
45 L 120 kWh 3240円
85 L 285 kWh 7695円
90 L 230 kWh 6210円
271 L 425 kWh 11475円
350 L 435 kWh 11745円
355 L 460 kWh 12420円
501 L 390 kWh 10530円
505 L 435 kWh 11745円
27円/1 kWhで試算

各電気代の目安は[1 kWhあたり27円]で算出しました。

上の表では、大容量だと電気代が1万円を超えていますが、500 L以上でも年間電気代6000円台の製品も数多くあります。

シャープ メガフリーザー シリーズの容量別の消費電力
製品型番 容量 年間消費電力 年間電気代目安
SJ-GA50E 502 L 235 kWh 6345円
SJ-GA55E 551 L 248 kWh 6696円
27円/1 kWhで試算

このように、たった80 Lで電気代7000円の製品もあれば、500 Lの大容量でも年間電気代が5000円台の製品もあります

当然、大きい冷蔵庫ほど価格が高いので買うことを躊躇するのですが、電気代の安い、可能な限り大きい冷蔵庫を買うべきです。
例えば、次の2つを比べてみてください。

  • A: 本体価格は7万円だけど、容量は300 Lで、電気代が年間1万1000円の機種
  • B: 本体価格は15万円(Aより8万円高い)けど、容量は500 Lで、年間電気代が7000円の機種

電気代の安い機種Bを20年使えば、4000円*20年=8万円の電気代節約になり、20年後のトータルコストは同じになります。だったら、大容量の高級機種を買う方が有意義ではありませんか?

目先の本体価格にとらわれず、使用期間全体でのランニングコストも視野に入れて考えると、見え方が変わってくるはずです。


1人あたりの冷蔵庫の必要容量の目安

一般的には必要容積量目安の算定方法は次の通りです。(インターネットで調べてみるとこの算定方法は日本電気工業協会が示しているとされている式ですが、まず日本電気工業協会という団体のサイト自体がみつからない。一般社団法人 日本電機工業会[JEMA]はあるけど、名前を変更したとか?でもJEMAでもその記述は見られない。(更新で削除されたのかな)2
でもこの計算式は必要最低限っていう印象を受けます。

(一般的とされている)必要容積量目安の算定方法

V=70 L*居住人数+100 L

私が個人的に推奨したい必要容積量目安の算定方法

V=110 L*居住人数+100 L

2000年代までは400 Lが主流だったのが、2010年代後半には核家族化が進んでいるにもかかわらず500 Lや600 Lの大型冷蔵庫が主流になっていますし、冷蔵室にいっぱい物を詰め込むと電気代が高くなります。(逆に冷凍室はいっぱい入れた方がいい)

個人的には、最低でも1人100~120 L。できれば180 Lくらいあればありがたいですね。

特に私の場合、とにかく大きい冷蔵庫が必要不可欠です。冷蔵庫が大きいことは正義と言っても過言ではありません。

  • 冷凍室には肉を沢山保存する。

  • ホールビーンのコーヒー豆の2 lb.袋を種類ごとに保管する。

  • 魚釣りのための保冷剤を沢山凍らせる。

  • 釣ってきた魚を長期熟成させる。

  • 冷蔵室にはMYぬか床を保存する。

  • ビールを沢山冷やす。


2015年6月のJIS C 9801-3:2015への規格変更に伴い、試験や測定内容が変わったことに注意

省エネルギーや節電を気にしているなら、製造年月に注意してください。
JIS(日本工業規格)の規格変更によって、2015年6月以前と以降では冷蔵庫の性能の測定方法に大きな違いがあります。 3

JISの新旧の比較
項目 JIS JIS
周辺温度 平均25℃ 平均22.4℃
投入負荷
  • 冷蔵室:12 g/L
  • 冷凍室:4 g/L
  • 冷蔵室:6.67 g/L
  • 冷凍室:6.25 g/L
扉開閉回数
  • 冷蔵室:1回(60秒)/1日
  • 冷凍室:1回(60秒)/1日
  • 冷蔵室:35回(各10秒)/1日
  • 冷凍室:8回(各10秒)/1日
ダクトスペースの容積 加算しない 加算する

JEMAでは、新測定方法は、旧測定方法に比べて、定格内容積の表示値(L)は小さくなる傾向にあり、年間消費電力量の表示値(kWh/年)は大きくなる傾向にあります。としています。 3

ただ、私が注目したいのは扉開閉回数の変更です。
JISでは、開閉回数が1/35へ、開閉時間も約1/6へと大幅に減らされているのです。

JEMAによると、開閉回数を半分にすると12%の節電、開閉時間を半分にすると5%の節電だと言っています。つまり開閉時間より開閉回数を減らす方が節電効果が高いのです。4

規格の変更では、性能試験での開閉回数が[35回/1日]から[1回/1日]に変更されています。開閉の合計時間も[350秒]から[60秒]に変更されていて、新旧では明らかに違いが出てきます。新JISでは平均周辺温度が+2.4℃に設定されていたり投入負荷は約2倍になっていますが、冷蔵庫の容積に対して0.5%が1%へ2倍に増えることは微々たることだと考えられます。

新基準の方が不利な結果(消費電力量が高く算出される)になる傾向があるとされていますが、必ずというわけではありません。
どっちが消費電力が高い結果となるかさておき、いずれにしても消費電力を比較する場合は製品の製造が2015年6月以前なのか以降なのか或いは新旧どちらのJISに従っているのかを知る必要があります。これを知らずに[消費エネルギー(kWh)]の項目比較しても何の意味もありません。


いま使っている冷蔵庫の詳細の調べ方

今使っている冷蔵庫が何 Lなのかや、本体寸法がいくつなのかを調べたい場合、冷蔵庫の扉を開いた内側を見てみてください。

  • メーカーや製造日
  • 電気に関する規格
  • 冷蔵スペースと冷凍スペースのそれぞれの容量
  • 本体の寸法

などなど、大抵の場合は扉の内側に性能の詳細が記されています。例えば、今ある冷蔵庫より小さい寸法を買えば確実に搬入することができるので、運んでみたら「あ・・・入らない」という事態は少なくとも防げます。


買い替えのタイミング

色んな冷蔵庫の価格推移を調べた結果、気づいたことがあります。

  • どのメーカーでも◯月に新製品を発売する
  • ◯ヶ月過ぎると大きく値下がりする
  • 一度値下がりすれば価格は横ばいになるので、あとは買いたい時に買うべき(ちょっと語弊あるけど)
  • セールの価格に惑わされないこと

以下にその理由を記しました。順に見ていきましょう。

新製品の多くが8月下旬から10月下旬に発売される

調査した任意の22機種の発売日は次のようになりました。

  • 2月上旬*2機種
  • 6月中旬*2機種
  • 8月下旬*2機種
  • 9月中旬*4機種
  • 9月下旬*4機種
  • 10月中旬*3機種
  • 10月下旬
  • 11月中旬*2機種
  • 11月下旬
  • 12月20日

8月下旬から10月下旬、夏の終わりから秋にかけて新製品が発売されています。特に9月中旬から10月中旬の1ヶ月に集中していました。11月や12月にもぽつぽつと発売はありますが、3月~5月は見られませんでした。

発売から3ヶ月後以降に買う

新製品は発売直後に買わないことです。(まぁ基本中の基本ですが)

  • 発売の大体3ヶ月後には20%くらい下落する。(たとえば20万円が16万円になる)
  • その半年後(発売から9ヶ月後)には更に10%以上は下落する。(20万円→16万円が14.4万円以下になる)
  • 更に半年後(発売から15ヶ月後)でセールなども絡めば半額くらいにはなる。(最終的に10万円ほどになる)
  • 発売してから1年以上経った製品でも価格に波があり、3万円くらい大きく値上がりすることもある

何ヶ月か経つと安くなりますが、ネットショッピングだとたまに大きく値上がりしていることがあるので、欲しいものリストに入れるなどして1,2ヶ月様子を見た方がいいでしょう。

また、冷蔵庫の場合はスマートフォンやPCのようにムーアの法則に従い、最新の製品が劇的に高性能になるようなことは基本的にありません。
新発売した製品はどうしても欲しくなるのですが、ぐっと我慢しましょう。

正月の初売りで安いことがある

1月5日から1月15日までの10日間ほどの初売り5000円から1万円ほど安くなることがあります。ただし、注意点があります。

  • 全ての製品が安売りの対象になるわけでは無い
  • 人気の高級機は大抵対象にはならない
  • 売れない製品だからこそ安売りになっていることが多い

なので、初売りはあまりアテにしないことです。欲しい製品が見つかったら幸運だと思いましょう。

ネットショッピングのセール価格に惑わされない

ネットショッピングのセールでは非常に安くで売りに出ている場合もありますが、実はセール終了後に追跡調査をしてみると、2,3ヶ月後にセール時よりも安い価格で継続的に販売していることもあります。時間限定で購入を迫られるとついつい判断が鈍り、「ええい、買っちゃえ!」となりがちです。注意しましょう。
もちろん、実際に安くで手に入れることがあることも事実ですが、初売りと同様にあまりアテにしないことです。


要するに、あまり値段の安さにこだわりすぎないことです。上記に挙げたセールに当てはまる製品は、冷蔵庫市場全体から見ればごく少数です。
欲しい製品が安売りされるか不明で、安売り価格が将来的にも本当に安い価格なのかも不明なので、そのために追跡したり比較したり労力を費やすことはあまり賢明ではないと私は考えます。(時間はお金で買えない)

設置スペースの狭さと電気代の差

製品にもよりますが、メーカーは「最低でも5 mmは隙間を取ってね。できれば10 mmは取ってね。」と、クリアランスを取るように呼びかけています。広いものだと20 mmを要求しています。

当然、隙間を大きく開けた方が消費電力が抑えられるということは皆知っていますが、どれくらい違うのか。
測定条件などの詳細は記されていませんがJEMAによると、その消費電力の違いは5%です。5
意外と少なくありませんか?5%の差は製品ごとの省エネ効率や普段の使い方でカバーできます。

例えば年間電気代が7000円の製品で5%増えると、350円高い7350円です。「ちょっと本体が大きくて設置スペースが狭くなる、けど年間電気代が500円安い」とかなら、断然そちらを買うべきでしょう。要するに、どうしてもその製品が欲しいなら、あまりクリアランスにこだわらないことです。


用語

ガラスドア

扉の表面に強化処理したガラスを採用している冷蔵庫。メリットは傷がつきにくい、汚れが拭き取りやすい、光沢が合って高級感がある。デメリットはマグネットが付かないこと。

フロストリサイクル冷却

日立の真空チルドシリーズが、運転時に発生する霜を冷蔵室や野菜室の冷却に用いる機能。2009年から。後にこれをベースとし、除霜を見直したハイブリッド除霜システムも登場している。

真空チルド

約0.8気圧の真空環境で食品の酸化を抑えて、鮮度と栄養素を守る日立独自の機能。

新鮮スリープ野菜室

日立の真空チルド Xシリーズに搭載されている、プラチナ触媒で野菜室内の炭酸ガス濃度を増加させて野菜の鮮度を保つ機能。みずみずしさや栄養素が失われにくくなる。

微凍結パーシャル

パナソニックの、肉や魚を新鮮な状態のまま約1週間保存できる機能。約-3℃に保つことで、肉を解凍しなくても包丁で切ることが可能。

氷点下ストッカーD

三菱電機の、肉や野菜を生のまま3日~1週間程度保存できる機能。

切れちゃう瞬冷凍

三菱電機の、23週間の保存に向いている冷凍方法。

しっかり冷凍室

三菱電機の、氷点下ストッカーDや切れちゃう瞬冷凍よりも長期間向けの保存方法。

スルスルローラー

食品を沢山収納した重い状態でも、楽に引き出せる硬質ベアリング方式を採用した引き出し。

スマートエアカーテン

AQUA(旧:三洋アクア)の、ドアを開けたときに滝のように前面に冷気が降りることで庫内の温度上昇を抑える機能。

マジック大容量

東芝の、設置スペースを維持したまま容量増加を図ったモデル。


脚注、参考資料