電動臼式コーヒーミルのおすすめ
エスプレッソ用からドリップコーヒー、フレンチプレスまで視野に入れた電動の臼式(コーン式とカット式)のコーヒーミルのおすすめ製品を紹介します。
- どうして臼式ミルの分類にコニカル式だけではなくてカット式も含まれているのか
- なぜプロペラ式は紹介しないのか
こういう風に疑問を持つ方もいるかもしれません。そういう方は以前の記事を参照してください。
https://kaden.ldwyl.com/coffee-mill-grinder/#coffee-mill-grinder-60-30以下の項目はここでの評価基準です。
- 段階調節数の多さ
ドリップ用にもエスプレッソ用にも使用できるか。用途範囲が広いに越したことはない。
- 粉砕方式は適切か
コーヒー豆が均一に挽けるか、これは最も重要な要素。コーヒー豆が均一に挽けていない場合、余計な雑味が抽出されたり味にムラが生じるから。
このページではコーン式、またはカット式の中から厳選する。メーカーごとに、カット式をカッティングタイプと言ったり、コーン式をコニカル式と表記したりまちまち。ここでは表記はメーカーや商品ページになるべく従う。- 定格時間の長さ
一度に極少量のコーヒー豆しか使わない人には重要ではないが大量の豆を使用する人にとっては重要な項目。
また、定格時間の長さは器機のタフさの指標の1つにもなる。定格時間が30秒未満ではかなり厳しいので、該当する製品はここでは紹介しない。
もくじ
11位:カリタ C-90
- 粉砕方式
- コーン式
- 定格時間
- 3分
- 段階調節
- 9段階
- 粉砕速度
- 80g/60秒(=1.3g/1秒)
- 対応
-
- エスプレッソ
- ドリップコーヒー
- フレンチプレス
ファインセラミック製の臼歯を使用しているという点は評価できるがそれ以外については、やや目に着くところがある。
- ホッパー内の豆が踊って、なかなかグラインドされない。
- 粒度調節の仕方が非常に面倒で、挽き具合も曖昧。
使用したい分だけホッパー内に入れると豆が弾かれてなかなか全てをグラインドできないので、大量の豆をホッパーに放置して、使う分だけグラインドしたい人にとってはデメリットにはならないかもしれない。
10位:メリタ パーフェクトタッチII / CG-5B
- 粉砕方式
- カット式
- 定格時間
- 90秒
- 段階調節
- 4段階
- 対応
-
- ドリップコーヒー
- 価格が安いのはありがたいが、段階調節数(4段階)が少ないのが欠点。
- 定格時間は90秒だが、稼働時の音がやや不安を感じるくらいに頑張ってる感じで聞いていてちょっと辛い。
- 稼働時間を設定することで一定量の豆が挽けるが、メモリの数値では何秒挽けるのか、何グラム挽けるのか分からないので、体感的に覚えるしかない。
- 任意の量でストップさせることは可能。
- ただしカット式でこの価格は破格と言える。
- 「ペーパードリップコーヒーしか淹れないし一般的な粒度で挽けるとにかく安いのが欲しい!」と、メリット・デメリットを理解している人にはコストパフォーマンスとしては最適かもしれない。
9位:メリタ / ECG71-1B
- 粉砕方式
- フラットカッター式
- 定格時間
- 60秒
- 段階調節
- 17段階
- 対応
-
- エスプレッソ
- ドリップコーヒー
- 挽き目の細かさ、挽く量をダイヤルで設定可能。
- ただしパーフェクトタッチIIと同様に、この挽く量の調節は稼働時間によるものなので、細かく挽くと、粗く挽く時よりも少量になる。要は挽き目の違う設定では重量が一定にはできない。
- 任意の量でストップさせることも可能。
- メリタ パーフェクトタッチIIをエスプレッソ対応にした上位版と思っていい。
8位:ハリオ V60 / EVCG-8B & EVCG-8B-J
- 粉砕方式
- コーン式
- 定格時間
- 不明
- 段階調節
- 44段階
- 対応
-
- (エスプレッソ)
- ドリップコーヒー
- (フレンチプレス)
- エスプレッソからフレンチプレスまで幅広く対応しているが、グラインドレンジはそこまで広くない印象。
- エスプレッソ用の粒度としても使えるが、あと1、2段階細かく挽きたいと感じた時に届かないもどかしさはある。
- グラインドレンジは300μmから900μmほどだろうか。エスプレッソにも対応はしているものの、ドリップコーヒーに重心を置いている感じはする。
- グラインドレンジ、グラインドスピード、定格時間など、不明な点がやや多い。
- ただし、微粉の量が少なく、挽き目が極めて均質な印象を受ける。
- 外臼を外す工程も含めて、掃除やメンテナンスの方法は非常に楽。
- 性能面だけを見れば、ここでの順位としては4位辺りにしたいところ。(値段さえもう少し安ければ・・・)
7位:デロンギ コーン式 コーヒーグラインダー / KG364J
- 粉砕方式
- コーン式
- 定格時間
- 60秒
- 段階調節
- 14段階
- 対応
-
- エスプレッソ
- ドリップコーヒー
- ドリップ用だけではなく、エスプレッソ用の極細挽きにも対応している。
- 手動式のポーレックスよりも更に細かく挽くことが出来る。
- ナイスカットミルと比較すると、全体的に3~5段階くらい細挽きに偏っている感じ。
- 中粗挽きから粗挽きには向いていない。
- 一番粗くても中細か中挽き程度の粒度になる。
- ドリップコーヒーで細挽きを好まない人にとっては、中間付近の細さの挽き方にあまり使い道がない。
- 中細挽きのドリップコーヒーとエスプレッソを淹れる人にとっては最適。
あとこれは余談ですが、少なくともアメリカではThe Capresso 560.01 Infinityという名前の製品がこのKG364Jとそっくりなデザインで存在します。OEMですね。
6位:カリタ ナイスカットG
- 粉砕方式
- カッティングタイプ
- 定格時間
- 5分
- 段階調節
- 15段階
- 粉砕速度
- 100g/60秒(1.66g/秒)/前モデル:130g/60秒(2.16g/秒)
- 対応
-
- ドリップコーヒー
- フレンチプレス
- ナイスカットミルの後継機モデル。
- 粉砕速度は前モデルの130g/分から100g/分へと変更された。
- ホッパーと粉受けも名目上は200 gから50 gへと数値変更されている。しかしホッパーはフタまで目一杯入れればいいだけの話で、目一杯にしても定格時間内には挽けるので特に問題はない。(強いて言うと粉受けが大容量なら良かった。)
- 中細挽きから中粗挽きに向いている。極細挽きや粗挽きにあと一歩届かない感じはあって、エスプレッソ用には向かない。
- 一番粗いモードだと、そこまで荒くない割に粒度もバラツキが大きくなってしまう。
- 個人的には3から5あたりが一番安定している印象を受ける。
- 受缶が付属しているのは非常にありがたい。別に調達しようとすると丁度のサイズがなかなか見つからないので。
- 前モデルのナイスカットミルと同様、電源スイッチが後方にあるのはやや使いづらい。
- 所有している前モデルは10年ほど使ってもいまだに故障ゼロなので、個人的にはこのシリーズの耐久性、タフさは実証済みでかなり信頼できる。
5位:カリタ ネクストG / KCG-17
- 粉砕方式
- カット式
- 定格時間
- 5分
- 段階調節
- 15段階
- 対応
-
- ドリップコーヒー
- フレンチプレス
モーターの回転数を従来品の50%まで低減
これによる恩恵は大きいです。
- カリタ製品の従来品の65%まで騒音をセーブ
- これにより摩擦熱を低減、オフフレーバーを抑える
メッシュ(粉の粒度)の安定性を飛躍的に向上させて、微粉の発生を減らしている点も魅力的です。
静電除去装置を搭載
これは新機能です。
どんな電動ミルでも、必ずと言っていいほどコーヒー粉は静電気によって飛び散る、あるいは本体に付着するなどして掃除が困難です。ですが静電気除去装置によってこれらが緩和されます。
金属製の受け缶がオリジナルというのも、とても有り難いですね。別途用意しようとするとなかなかいいサイズのが見つからないので。
また、受け缶を乗せる台座の部分も本体から取り外せるようになったので、お手入れが従来モデルよりも更に楽です。
「チャフを静電気で除去する」のは都市伝説
インターネットではチャフの除去方法について、「静電気の力を使って本体に付着させる、あるいは弾き飛ばす」というテクニックがまことしやかに流れていますが、はっきり言って迷信と言うか都市伝説です。そんなことでチャフは除去できません。
なので、そういうテクニックが使えないと心配する必要はありません。
今までミルを所有したことがない人だとそういったことが分からないかもしれませんが、ミルを所有している人のうち「静電気でチャフ除去できている」と実感している人なんかほぼいないんじゃないでしょうか。
- チャフ
焙煎時に出るシルバースキンの焼けカス。コーヒーのえぐ味や渋味などの雑味の原因となるので除去した方が良い。生豆の処理で残った一部も焙煎時にはチャフとして剥がれ落ちるので、焙煎後の豆にはそれほど多くは含まれていないが、豆の真ん中にあるくぼみには残りやすい。
こだわりがあって、チャフを徹底的に除去したい場合には、いったん豆を大きく割らなければならない。その方法は2つある。
電動ミルで粉砕した際にミル本体に生じた静電気を利用して本体に付着させる、あるいは風で軽いチャフだけ吹き飛ばす。しかし除去の効率としてはやや無理がある。静電気を利用するという話に至ってはほぼ都市伝説に等しいシロモノで、実際にミルを使っている人ならこんなことでチャフが除去できるなんて誰も思わない。そういう事を言う人はたぶん実際にミルを持っていない。
(例えば、金属のカップに粉を受けてドリッパーに移した時、カップの内側にチャフが付いていることが多い。でもこれだけでは満足できるほどの除去は出来ない。)
一旦荒く粉砕し、撹拌することで軽いチャフと重い豆とに分離させ、チャフを除去してから再度必要な粒度に粉砕する。(参照)
電源スイッチが前面に来た
些細なことですが、スイッチが全面にあるのはありがたいですね。
これまでのモデルではデザインを重視していたのかスイッチが後方にあったので、手を裏側に回してスイッチを押すのがすごく使いづらかったんです。
ナイスカットGとネクストGとの比較
ネクストGも従来機同様、エスプレッソには向かないメッシュ(粒度)です。一番細挽きにしてもエスプレッソにしては粗い粒度となります。
家庭用の二重構造のフィルターバスケットなら擬似クレマが生成されるので、そこまで違和感は無いかもしれません。しかし、こだわりのエスプレッソを淹れたいなら満足する粒度は得られないでしょう。ドリップ、フレンチプレスなど向きです。
エスプレッソは淹れないという人向き、あるいはエスプレッソ専用ミルとドリップ用と2台持ちしたい人には最適です。ナイスカットGと比較するなら、実質的な性能面で大きな差は無いので、静電気除去機能についてこの金額差が払えるか、この一点に尽きます。
4位:メリタ バリオ / VARIO CG-111
- 粉砕方式
- 54 mm フラットカッター式
- 定格時間
- 100秒
- 段階調節
- 230段階
- 粉砕直径
- 230~1150ミクロン
- 粉砕速度
- 1.5~2.5g/1秒
- 対応
-
- エスプレッソ
- ドリップコーヒー
- フレンチプレス
下の動画ではBaratza(バラッツァ)というメーカー表記になっています。このBaratzaというのが本家で、日本ではメリタというメーカーが受託製造しているOEMです。(分かりやすく言うと、バラッツァはメリタの親分のような立場です。)
日本でのVARIO CG-111については、本家のBaratzaでもVarioという名前です。1
- 専用のクリーナーを豆と同様に挽くだけでグラインドディスクを洗浄できる。
- バリオなら0.1秒単位(0.2g単位)でグラインド時間を調節可能なので、エスプレッソ用にポルタフィルターに直接挽きたい分だけ挽く時は非常に重宝する。
- プロ仕様で性能は凄いが、家庭用としては値段が高すぎるのが最大のデメリット。
- 1つ下位モデルのVARIO-Vとは値段が倍以上違う。
- その他、実質的な性能面での大きな違いはバリオE、バリオVの段階調節数が40段階に対してCG-111は230段階とずば抜けている点以外では、あまり見当たらない。グラインドスピードもバリオVとほぼ同じなので。
- ただし、230段階の挽き目調節というのは非常に魅力的で、エスプレッソを極めたい人にとっては不可欠な性能なので、半業務用、業務用に向いている。
3位:デロンギ デディカ / KG521J
- 粉砕方式
- コーン式
- 定格時間
- 60秒
- 段階調節
- 18段階
- 粉砕直径
- 283~1089ミクロン
- 対応
-
- エスプレッソ
- ドリップコーヒー
- フレンチプレス
- グラインドレンジが283~1089ミクロンというのは結構広い。
- 同じデロンギ製のエスプレッソマシン EC680を思わせるデザインで可愛らしい。
- 受け容器に受けることも可能だし、そのままポルタフィルターにドーシングすることも可能なので、エスプレッソを淹れる人にはとても便利。
2位:メリタ バリオ(VARIO-E) / CG-121
- 粉砕方式
- 40 mm コーン式
- 定格時間
- 60秒(次の使用まで5分の間隔が必要)
- 段階調節
- 40段階
- 粉砕直径
- 250~1200ミクロン
- 粉砕速度
- 0.8~1.1g/1秒
- 対応
-
- エスプレッソ
- ドリップコーヒー
- フレンチプレス
下の動画では、BaratzaのEncoreという商品名で紹介されています。これはOEMの元である本家の名前です。(分かりやすく言うと、バラッツァはメリタの親分のような立場です。)2
- VARIO-Eでグラインド
- 非加圧フィルタ+ネイキッドポルタフィルター
- ソロの抽出
4~5秒ほど抽出が長いようにも感じますが、とてもいい感じにクレマが出ています。
1位:メリタ バリオ(VARIO-V) / CG-122
- 粉砕方式
- 40 mm コーン式
- 定格時間
- 60秒(次の使用まで5分の間隔が必要)
- 段階調節
- 40段階
- 粉砕直径
- 200~1400ミクロン
- 粉砕速度
- 1.5~2.4g/1秒
- 対応
-
- エスプレッソ
- ドリップコーヒー
- フレンチプレス
下の動画ではBaratza(バラッツァ)のVirtuosoという名前で紹介されています。3これはメリタにとってのOEM元の本家です。(分かりやすく言うと、バラッツァはメリタの親分のような立場です。)
動画では、それぞれの調整での挽き目を確認することができます。
VARIO-EとVARIO-Vの違い
- グラインドレンジがVARIO-E(250~1200μm)と比べてVARIO-V(200~1400μm)は広い。
- VARIO-Eと比べてVARIO-Vはグラインドスピードが約2倍で、2倍早く挽ける。
- それ以外には特段の差はないので、金額面で憂慮するならこの2点を吟味すべし。
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