Tamron 28-200mm (Model A071)レビュー(私の初フルサイズ用ズームレンズとして)

2021年5月13日

Tamron 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD (Model A071)を購入しました。
これで、2020年暮れから2021年5月まで悩んでた「初めてのフルサイズ用ズームレンズ探しの旅」が一旦落ち着きました。

結論: 動画撮影にもめっちゃ良い

結論としては、初めてのズームレンズとして1つの正解だと感じました。決して買って後悔はない。(今のところね)

ファームウェアアップデート

AF-S時、まれにAF動作が停止することがあったため、発売後早々の2020年8月にはファームウェアアップデート(Ver.03)がリリースされています。私も購入後、Ver.02→Ver.03へとアップデートしました。詳細は下記公式ページにて。

惹かれた点

軽量、コンパクト

最大径x長さ:74×117 mm、重量575 gというのは、他の高倍率ズームレンズに比べてかなり軽量コンパクト。他のだと800 g以上が当たり前。

機動性が高い

幅広い焦点距離をカバーしているのでレンズ交換が不要になり、撮りたいと思ったその瞬間に好きな焦点距離で撮影ができる。屋外での交換時のトラブルやストレスもない。旅行用にも最適。

ブリージングが極めて小さい

動画用のレンズとして購入するのに1番惹かれた部分。
ピント位置が変わる時の画角変化は、全く無いと言ってもいいレベルで小さい。SONY純正のレンズはスチルレンズとしては優秀かもしれないが、ブリージングの多いレンズが多くて、動画用として向いている機種が少ない。

その点、このレンズは撮影中でも臆することなくピント移動が可能。

発色が自然

くせが少ない。所有しているGレンズ(SEL20F18G)と比べても遜色がない発色。
(以前使ってた廉価な純正レンズSEL55210(APS-C)は青みが強くて赤色の発色が悪かった。)

ズームレンズの割に解像度が高い

これには驚いた。広角側でもキレがあるし、特に中心部の解像度は文句なし。

安い

2021年時点の実勢価格は7万円前後。他のEマウントレンズに比べるとかなり手頃感がある。

APS-Cでも使いやすい画角

28-200mmはAPS-C換算でも42-300mmなので扱いやすい。旅行の時は敢えてAPS-Cのカメラと組み合わせるのも選択肢の1つになりうる。
これがもしフルサイズ用70-200mmならAPS-C換算だと105-300mmになるので、狭い空間では使いにくい。

イマイチな点

ビルドクオリティは若干低い

剛性自体は高そうだけど、ちょっとチープに見える。ただ、値段以上の良い造りなのでそこまで文句はない。

逆光耐性は低い

周辺部では周辺部で青ハロ・フリンジが出やすい。でも中心部では今のところ見たことがない。その点では使いやすい。

AFがたまに弱い(これはVer.03のファームウェアアップデート後でも見られる)

部屋の壁紙など、のっぺりとした面に向かって中央固定でAFにするとピントを探し続けて定まらない。でもこれが確認できたのは中央固定の時だけ。
他の被写体がなくても、AFをワイド設定にするだけで解消できる。また、普通の被写体なら中央固定でもちゃんと機能する。

決め手: 2021年SONY純正NEWレンズの噂

もう1つ購入を後押ししたのがNEWレンズの噂です。私が欲しかったのは高倍率ズームレンズ、あるいは50-200mmだったのですが、そういったものが出そうになかった。勿論 噂に過ぎませんが、50mm f/1.2は当たっていたので、少しは信ぴょう性がありそうかなと。(SEL14F18GMは噂とズレがありますが)
いっそ70-200mmを待っても良かったんですが、やっぱり28-200mmという高倍率の便利さに惹かれました。

2021年に出ると噂のあるレンズ一覧
分類 焦点距離 F値 実際の型番 発売日
単焦点 50mm f/1.2 SEL50F12GM 2021年4月23日
GM macro lens f/
単焦点 16mm f/1.8 (SEL14F18GM ?) (2021年5月28日)
単焦点 100mm f/1.4
単焦点 800mm f/5.6
ズーム 24-70mm f/2.8
ズーム 70-200mm f/2.8

第一感: 初心者用でもあり、プロ用でもある

価格だけで見れば初心者やライトユーザーでも手を伸ばしやすい製品で、同時に「安かろう悪かろう」がつきまとうと思います。買う前の私もそうでした。

でもそう感じる写真はいくつも撮った中のごく一部だけでした。ちゃんと撮れば解像感のあるシャープな写真が撮れるし、価格や機動性を考えればお釣りが来るレベルです。それどころか機動性の高さからシャッターチャンスが増える→撮影枚数が増えるのでトータルとしては圧倒的に撮れ高を上げやすい。そういう点からも非常にコスパが高い。お世辞じゃなく。

ただし・・・
どんな撮り方をすればどんな弱みが現れるか、デメリットをカバーするためにレンズの癖や弱点を知ってそれを回避する必要があり、よく言えば初心者にとって勉強になるレンズです。プロの方もそういった点を上手に押さえながら使いこなしているんじゃないでしょうか。そういう意味で初心者用でもあり、プロ用でもあると感じました。

各性能

逆光耐性・フリンジ: ちょっと弱い

でもこれは事前調査通りでした。買う前から分かっていたことですが、周辺部でフリンジが出やすいし、ゴーストも出やすい。特に青ハロは盛大に出ちゃう印象。ここらへんのデメリットは1日使っただけで感じました。
車のヘッドライトのような強い光源に向けて撮る際や反射物を撮る際の弊害は大きいので、如何に順光で撮るか・反射を避けるか、注意や工夫が少し必要です。

絞り: 望遠端の絞り開放f/5.6問題

(この話はこのレンズに限ったことではありませんが・・・)
望遠端では暗くなりがちなので、出来るだけシャッタースピードを遅くしてISO感度を下げたくなります。でも焦点距離200mmでは手ブレが大きくなりますから無闇にシャッタースピードを長くも出来ません。

でも仮にISO感度を下げられても、手ブレでシャープネスが失われてしまっては元も子もありません。

シャッタースピードとISO感度の設定に神経を使うし、カメラをぴたっと止める技術も求められます。動体を撮るなら尚更です。これは上でも言った「初心者用でもありプロ用でもある」のに通じる話です。

今まで単焦点f/1.8(SEL20F18G)のに慣れてしまったので、露出3.3段分(10/3段分)も違うと結構ストレスを感じます。なので広角端でのf/2.8は本当に助かりますね。

室内で使いたいのならこのレンズはオススメしません。あくまでも天気の良い日中屋外がメインフィールドという人向きですね。ドピーカンならポートレート(人物撮影)でも十分に使えるでしょうけど、暗いシーンではちょっと使いにくい。(ポートレートでの問題点については後述)

SEL24240とのf値を比較

焦点距離 Tamron 28-200mm SONY 24-240mm
24mm f/3.5
28mm f/2.8 f/4
31mm f/3.2
38mm f/4.5
45mm f/3.5
53mm f/4
55mm f/5
70mm f/5.6
78mm f/4.5
103mm f/6.3
112mm f/5
146mm f/5.6

SONY 24-240mmに比べると、Tamron 28-200mmは同じ焦点距離でも約1段分も明るい。

ボケ味: 思ったよりかなり良い

玉ボケ、輪線ボケ

Youyubeのレビューを見ていて思ったのは「輪線ボケ(年輪ボケ)が汚いな・・・」ということでした。これは買うことを躊躇していた要因の1つです。

でも、思ったほどではなかった。
確かに汚いボケが出ることもありますが、常に出るワケじゃなくて、むしろ綺麗なボケの時のほうが圧倒的に多い。
焦点距離とか、ピントの距離で悪条件が重なった時にだけ出てくるって感じで、特に気にしなくても大抵は綺麗なボケが撮れます。これにはちょっと安心しました。

周辺部のボケ・口径食

画面周辺部でもボケの形状はかなり真円に近く、口径食はあまり目立ちませんし、欠け方もそんなに汚くもありません。

ボケの階調

すごくなめらかです。
レンズによっては「合焦した部分」と「そうじゃない部分」とくっきり境目が見えちゃう場合もあるんですが、このレンズではあんまり目立たないので使いやすい。(F/2.8からってのもあるでしょうけど)

ビルドクオリティ: 良い所、悪い所両方ある

全体としては良いと感じました。が、ここでは主に不満点を述べておきます。

レンズキャップが傷付きやすい質感

これはタムロン共通だとは思うのでここで敢えて挙げるのも何ですが、表面がツルツルしてるので傷が目立ちやすい。SONY純正みたいなザラっとしたやつのほうが気兼ねなく使えます。

レンズポーチの付属無し

ペラペラでもいいので付けて欲しい。カメラに装着したままの鏡筒やレンズキャップがカバンの中で擦れるのがイヤなので、何でも良いから布を1枚噛ませたい。どうせ自分で買ったりお手製で作るハメになるのなら最初から付けて欲しいなと思う。
前に買ったGレンズには付属していましたが、アレはアレでゴワゴワしてるので携行しにくいのですが。

ズームリングもヘリコイドも硬い、ざらつく

普段使いとしては、ズームリングやヘリコイドがちょっと硬いし重い。防塵防滴を優先した結果でしょうか。或いは経年時に緩くなることを見越して硬めに設計しているのか、それともただの個体差なのかちょっと不明ですが、特にワイド側へのズームの抵抗がかなり大きい。

また、ゴム素材にゴミが付着しやすく除去しにくく、ゴムの部分だけメンテナンス性が悪い。というか経年劣化の観点からも極力ゴム素材を使わないで欲しい・・・。ただ、これも恐らく登山などのアウトドアで分厚い手袋をしたままでもしっかり正確にズームリングを回すという屋外使用を想定していて、仕方のないことかもしれません。全体的にタフネスを重視した造りです。

解像力: 中心部では文句無し(作例あり)

  • タムロン28-200mm
  • Gレンズ(SEL20F18G)

この2つのレンズでいくつか写真を撮ってみたので見比べてみてください。全部ISO感度100に統一したjpeg撮って出し。細部を確認したい場合は新しいタブで開いて拡大するかダウンロードしてください。
購入前は解像力についてかなり不安がありましたが、中心部でここまで解像してるなら文句無しです。(ただ、撮ったあとで気付いたんですけど両方ともCPLフィルターを着けてるので若干の劣化とかはご容赦ください。デスクの反射の白さが違うのはそのためです。)

Tamron 28-200mm

まずはhandheld(手持ち撮影)。↓↓↓

77mm SS:1/60s f/4 ISO:100
28mm SS:1/60s f/2.8 ISO:100
28mm SS:1/30s f/2.8 ISO:100

↑本来はこういう赤。他の写真は照明の当て方、撮る角度の違いで色味が綺麗に反射しなかったんですが、これはレンズのせいではありません。RAWから起こしても良かったんですが、ここでは解像感だけに注目してください。

これだけ三脚固定撮影。↓↓↓

200mm SS:1/2s f/5.6 ISO:100

次にISO感度を100に統一するために三脚固定撮影で撮ってみたもの。タイマーと長秒露光を使用しています。↓↓↓

28mm SS:1/3s f/2.8 ISO:100
200mm SS:1.6s f/5.6 ISO:100

色味に関しては割と素直というか、かなり満足しています。
SONY SEL55210というAPS-C用のレンズも持っていますが、それと比べると明らかに赤色の発色が良い。全然違います。SEL55210はすごく青みがかっていて、綺麗な赤色が出ないと感じていました。

SONY SEL20F18G(単焦点)

こちらも三脚固定撮影。(こっちはCPL NDフィルターを着けたままでした。)

20mm SS:1/1.6s f/2.8 ISO:100
20mm SS:1/4s f/1.8 ISO:100

解像力で単焦点Gレンズと比較するなんて無謀だと思ったんですが、そんなに圧倒的な差があるとは思えないんですよね。実際、SONY純正レンズのMTF曲線(開放)と見比べても、そこまで大差があるとは言えない。
むしろ、望遠端での優秀さに気づく。

MTF曲線の比較

↑↑↑Tamron 28-200mmのMTF曲線

↑↑↑SONY SEL20F18GのMTF曲線

↑↑↑SONY SEL24240のMTF曲線

↑↑↑SONY SEL24105GのMTF曲線

MTF曲線の見方については下記動画で詳しく解説されています。要点だけ知りたい方は2分45秒から見ると話が早いと思います。

中心部での解像力はなかなかですが、実使用で写りに差が出るすれば次の2点が画質を落とす要因になると思います。(上でも触れましたが)

  • f値の差による高ISO感度でのノイズ

  • ISO感度を庇うために長く取ってしまったシャッタースピードによる手ブレ

要するにこのレンズで綺麗に撮れないのだとしたら、それは光量不足か撮影者の実力不足です。そう言えちゃうくらいに仕上がったレンズです。


ちなみにa7S3の場合、焦点距離50mmで5.5段分の手ブレ補正を得られます。これが200mm換算ではどの程度の効果になるか分かりませんが、レンズ内手ブレ補正機能を持たないこのレンズの200mm域でも、ボディ内手ブレ補正が十分に機能していることを実感できましたし、動画も写真も問題なく撮影できました。

周辺部: シャープネスは甘い

次の写真は全部handheld(手持ち撮影)です。28mmの開放f/2.8で、どれもマイクのマーク付近にピントを合わせて各四隅に配置してみました。周辺部では描写がちょっと甘い。

ちなみに、手持ちでもISO100を維持できるように、室内照明を使いました。この照明めっちゃ明るくて良い。物撮りにもオススメです。

28mm SS:1/50s f/2.8 ISO:100

ちなみに周辺部でもf/8くらいまで絞ればもうちょっと解像感は増します。風景写真を撮るなら別ですが、個人的な普段使いとしてはそこまで絞るのはあんまり実用的ではないと感じてしまう。(室内・暗所が多いので)

SONYのGレンズに比べると周辺部の解像力は明らかに負けていますが、真ん中の美味しいところだけ解像させて周辺はボカすような撮り方なら全然見劣りしないんじゃないでしょうか。
普通に使ってる分にはそういう場面が多いと思います。

ポートレートで使いにくい部分もある

画面中心部ではポートレートでも使えるような解像度がありますから、中心に人物を据えて周りをボカす撮り方では問題ないと思います。

でも縦撮りで画角いっぱいに人物を入れて撮ると、自然と顔は画面の周辺部に収まるので大事な部分に限って解像度が落ちやすくなります。
ガチでポートレートやるなら、ズームレンズを使うにしてもGレンズやGMレンズのほうが無難だなぁとは思います。

周辺減光: そんなに無い

上の写真でも、そんなに目立った周辺減光は無かったかと思います。

歪曲収差: 思ってたよりかなり小さい

高倍率なので覚悟していたのですが、思ってたよりもかなり小さくて助かっています。SEL24240のほうがもうちょっと大きい印象がありますね。

フィルターはケラレやすい

フィルター径は67mmですが、同口径のフィルターを使うとケラレやすいです。

薄型1枚だけならギリギリ大丈夫ですが、CPL-NDフィルターや可変NDフィルターみたいな分厚いものを使うと広角側で微かにケラレます。組み合わせにもよりますが、50mm~70mm以上で解消されることが多い。
「動画では上下に黒帯を点けるだけ問題ない」と考える人もいるかもしれませんが、ケラレに邪魔されてAF精度が大幅に落ちるので避けるべきです。

もしフィルターの重ね着け、分厚いフィルターの使用を考えている場合は67mm-82mmのステップアップリングを装着の上、82mm径のフィルター使用をオススメします。

総括

このレンズは手ブレ補正を省くことで画質のヌケ感、軽量化、コンパクト化、低コスト化を果たしているように思います。「a7s3みたいに良いカメラを買ったからにはレンズも最高級にこだわりたい!」という考えもありましたが、足りない部分をカメラ性能に任せる、手ブレ補正はジンバルに任せるというのも1つの選択肢として全然アリだな、と感じました。

値段も踏まえると、どこでも手軽に扱えるズームレンズとしてかなりオススメできます。

ジンバルのオススメはこちら。