動画編集ソフトDavinci Resolveのシステム環境設定に関する情報まとめ
このページでは、動画編集ソフトDavinci Resolveにおけるシステム環境に関する知識や情報をまとめています。なお、私は有償版であるDavinci Resolve Studioを使っていて、それを前提にしていますのでご了承ください。
もくじ
メモリ&GPU
認識できるメインメモリの最大容量
通常、Resolveのメモリー上限は、搭載メインメモリの75%まで使用可能です。また、Fusionのメモリーキャッシュ上限は、Resolveのメモリーの75%まで使用可能です。つまり、Fusionのメモリーキャッシュ上限は、搭載メインメモリの56.25%になります。この法則を元に一覧表を作成しました。
搭載メインメモリ容量 | Resolveのメモリー上限 | Fusionのメモリーキャッシュ上限 |
---|---|---|
8 GB | 6 GB | 4.5 GB |
16 GB | 12 GB | 9 GB |
32 GB | 24 GB | 18 GB |
64 GB | 48 GB | 36 GB |
128 GB | 96 GB | 72 GB |
256 GB | 192 GB | 144 GB |
512 GB | 384 GB | 288 GB |
1024 GB | 768 GB | 576 GB |
搭載メインメモリの75% | Resolveのメモリーの75% (搭載メモリの56.25%) |
補足情報
- Davinci Resolve 15時点では、メインメモリは最大で24GB(内、カラーコレクションでは12GB)までの使用までで制限され、それ以上は消費されることがなかった。(DaVinci Resolveでカラーコレクションに最適なパソコンを考える|パソコン工房|2020年2月)
搭載グラボのVRAM容量に対して必要なメインメモリ
以下は、グラフィックボードのメモリに対してどれくらいメインメモリ(DRAM)を搭載するべきかという目安の一覧表です。
グラボメモリ | 最低必要容量 | オススメ容量 |
---|---|---|
4 GB | 8 GB | 32 GB |
6 GB | 16 GB | 32 GB |
8 GB | 16 GB | 48 GB |
10 GB | 16 GB | 48 GB |
12 GB | 24 GB | 48 GB |
16 GB | 24 GB | 64 GB |
20 GB | 32 GB | 64 GB |
24 GB | 40 GB | 80 GB |
48 GB | 72 GB | 128 GB |
64 GB | 88 GB | 160 GB |
96 GB | 136 GB | 224 GB |
128 GB | 176 GB | 288 GB |
196 GB | 264 GB | 416 GB |
256 GB | 344 GB | 544 GB |
オススメ容量の根拠は、FusionメモリだけでVRAMを100%使用しても不足が無いように、VRAM容量から逆算したものです。(オススメ容量=VRAMの56.25%の逆数=VRAMの約1.78倍)
Davinci Resolve単体で使う分にはかなり余裕を見ているものの、その他のアプリも使うのであればもう少し積んでもいいかな?とは思います。(VRAM100 GB以上とかは未知すぎて実感はありませんが。)
メインメモリのスペックによる恩恵
搭載メモリ | チャネル数 | クロック数 | 書き出し時間 |
---|---|---|---|
16 GB | 1ch | 2666 Hz | 100分 |
32 GB | 1ch | 3200 Hz | 78分 |
32 GB | 2ch | 2666 Hz | 56分 |
64 GB | 2ch | 3200 Hz | 50分 |
- メインメモリの容量が多ければ多いほど動作は安定し、書き出し速度は速くなる。特に、32 GB以上だと動作に大きな改善が見られるのでおすすめ。これは、メインメモリだけで処理が可能になることで、仮想メモリに書き込む頻度が減るため。ただし64 GB以上ではそこまで恩恵がない。(VRAM容量が48 GBとか、DRAM容量に迫ってくると話は変わると思うけど)
- メモリクロックの高さ、チャネル数の多さに比例して高速化する。
- 例えば、2666Hzから3200Hz(+23%)にすると、書き出し時間は+28%となる。また、シングルチャネルからデュアルチャネルにすると、書き出し速度は+100%になる。
補足情報
- メモリ容量を必要以上に確保できれば、ストレージ上の仮想メモリに書き込むことが減るので高速化しやすい。
- Davinci Resolve 14(2017年)の時点では、VRAMの上限が12 GBだったので、メインメモリもそれ以上はあまり必要ないとされていた。(Source:「DaVinci Resolve 15」で4K HDR映像を快適に編集するのに必要なのはCPUコア数? ビデオメモリ?)
デコードオプション
ハードウェアデコード(デコードにハードウェアアクセラレートを使用)
RTX 20/30/40シリーズや、intel第11世代以降はH.265で色んなフォーマットのデコードに対応しているので、対応しているコーデックを使用する場合に動作が軽くなります。
ハードウェア別フォーマット対応一覧表(デコード)
H.264 | AMD Radeon 5000/6000/7000 シリーズ | NVIDIA GTX 10シリーズ | NVIDIA RTX 20/30/40 シリーズ | Intel Quick Sync intel第10世代 | Intel Quick Sync intel第11/第12/第13/第14世代 |
---|---|---|---|---|---|
8-bit 4:2:0 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
8-bit 4:2:2 | ✗ | ✗ | ✗ | ✗ | ✗ |
8-bit 4:4:4 | ✗ | ✗ | ✗ | ✗ | ✗ |
10-bit 4:2:0 | ✗ | ✗ | ✗ | ✗ | ✗ |
10-bit 4:2:2 | ✗ | ✗ | ✗ | ✗ | ✗ |
10-bit 4:4:4 | ✗ | ✗ | ✗ | ✗ | ✗ |
H.265 (HEVC) | AMD Radeon 5000/6000/7000 シリーズ | NVIDIA GTX 10シリーズ | NVIDIA RTX 20/30/40 シリーズ | Intel Quick Sync intel第10世代 | Intel Quick Sync intel第11/第12/第13/第14世代 |
---|---|---|---|---|---|
8-bit 4:2:0 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
8-bit 4:2:2 | ✗ | ✗ | ✗ | ✗ | ◯ |
8-bit 4:4:4 | ✗ | ✗ | ◯ | ✗ | ◯ |
10-bit 4:2:0 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
10-bit 4:2:2 | ✗ | ✗ | ✗ | ✗ | ◯ |
10-bit 4:4:4 | ✗ | ✗ | ◯ | ✗ | ◯ |
12-bit 4:2:0 | ✗ | ◯ | ◯ | ✗ | ◯ |
12-bit 4:2:2 | ✗ | ✗ | ✗ | ✗ | ◯ |
12-bit 4:4:4 | ✗ | ✗ | ◯ | ✗ | ◯ |
AV1 | ✗ | ✗ | ◯(40のみ) | ✗ | ◯ |
4:2:2 10-bitが重い問題
最近のハイエンド動画カメラ(例えばSONY FX30とかα7S3とか)は4:2:2 10-bitの記録フォーマットに対応しているんですけど、NVIDIA RTX 40シリーズでもこのコーデックに対応していません。なので、対応した編集機材を持っていない場合、プロキシを使わないと編集がすごく重くなるし、エンコードにも時間がかかります。
いくつかの解決方法をお手軽な順に紹介します。
- Intel Arc A380やA770を導入する
Intel Arc A380なら2万円前後で入手可能。出費はありますが恩恵も大きい。
- 4:2:2 10-bit素材もプロキシ無しでそのまま使える
- 元素材だから色味を正確に把握できる
- Davinci Resolveの動作が根本的に軽快になる
- プロキシ同時記録を使う
撮影機材が4:2:2 10-bitに対応しているということは、撮影時のプロキシ同時記録にも対応しているはずなので、これを使うのも良し。ただしビットレートが低くなるので、色味の正確性には少し欠けます。
- intel第11世代以降のCPUでパソコンを構成・構築する
CPUパワーだけで解決できるので、パソコンを買い換えようとしている人には良いかもしれません。
- 撮影時のフォーマットをH.265 4:2:0 10-bitにする
4:2:0 10-bitに対応するグラフィックボードは多いので、これだけでも解決はできます。しかも出費がない。ただし、既に撮影した素材には有効ではないし、画質面で妥協することになります。
- 撮影時のフォーマットをH.264 4:2:2 10-bitにする
H.264のほうがH.265よりもCPU負荷が小さいので、苦肉の策として使えます。ただし動画保存容量が大きくなるのでストレージが圧迫されます。また、CPUに無理をさせていることに変わりはないので、根本的な解決とは言えません。
AV1のエンコード、デコード
NVIDIAではRTX 40シリーズ以降からAV1エンコードが行えるようになりました。一方IntelではIntel ArcがAV1エンコードに対応しています。下表では、Davinci ResolveでGPUを2台接続した場合の役割分担と書き出し時間を表しています。
コーデック | デコーダー | エンコーダー | エンコード時間 |
---|---|---|---|
AV1 | Arc | Arc | 31分 |
AV1 | Arc | Nvidia | 19.9分 |
AV1 | Nvidia + Arc | Arc | 22.5分 |
AV1 | Nvidia + Arc | Nvidia | 22.3分 |
AV1 | Nvidia | Arc | 28分 |
AV1 | Nvidia | Nvidia | 21分 |
- RTX 4090単体(AV1対応)よりも、Intel Arc(A380)を併用したほうが書き出しが速くなる。
- RTX 4090単体ではタイムライン再生が重い場合でも、Intel Arcを併用するとCPU(Ryzen 5950X)の使用率が60%→20%以下へ改善・軽量化される。
これが結構盲点で、ゲーミング用みたいな高性能パソコンでも、コーデックに対応していない構成のせいで編集が重くなる場合があるので、心当たりのある方にはIntel Arcの追加がオススメです。
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