Bluetoothワイヤレスのヘッドホン・イヤホンの方式の違い、買う時の注意点

2018年12月7日ヘッドホン・イヤホン

Bluetooth通信を使い、ワイヤレスでオーディオを楽しむために気をつけたい点などをを紹介します。

コーデック(通信規格)

まず、どんなタイプのヘッドホンを買うか考えた時、無線か有線かで分かれるかと思います。
最近はiPhoneやiPad、Android端末等のスマホが普及したので、iTunesなどの音楽再生アプリとBluetooth通信によるワイヤレスヘッドフォンの組み合わせで高音質な音楽を聞きたいという人も増えたのではないでしょうか。

スマホでワイヤレス化しようとした場合はBluetooth通信を使うことになるでしょう。

特に注意する点はコーデック(通信規格)です。Bluetoothには主に次の種類のコーデックが存在します。

SBC

iPhone, iPad, Androidのどの端末で大抵対応している規格。AAC、apt-Xで通信できない時に使われる。ただしAACやapt-Xに比べて音質が悪いし、音ズレも大きい。音楽を聞くだけならいいが、特にアクションゲームなどタイミングが重要なアプリとの相性は悪い。

AAC

Advanced Audio Codingの略。高音質。主にiPhone, iPadで採用されている。圧縮率は高いが、遅延が小さめ。

apt-X

高音質。主にAndroidで採用されている。圧縮率が低く、遅延も小さい。

apt-X HD

apt-Xのハイレゾリューションバージョンの位置づけ。高音質な反面、従来のapt-Xより遅延が大きい。

LDAC

ソニーがハイレゾリューション音源に対応するために開発したコーデック。低遅延だが数値は具体数値は非開示。

このように、製品によってBluetoothで使う通信の信号が違います。

また、PCと接続するために使うUSBアダプターを購入する時にもその相性に注意してください。

通信規格 音質 圧縮率 遅延時間 説明
SBC 標準音質 高い 約0.2~0.3秒(200~300 ms、長い) iPhone, iPad, Androidに限らずほとんどの端末機器
AAC 高音質 高い 約0.09~0.15秒(90~150 ms、少し短い) 主にiPhone, iPadで採用
apt-X 高音質 低い 約0.06~0.08秒(60~80 ms、短い) 主にAndroidで採用。CSRが開発。動画や、楽器セッション、アクションゲームなどに向いている。
apt-X Low latency 高音質 低い 約0.03~0.04秒(30~40 ms未満、とても短い) 主にAndroidで採用。CSRが開発。
apt-X HD 高音質 低い 約0.15秒(150 ms、短い) apt-Xのハイレゾリューション版。
CSRが開発。apt-Xより遅延が大きい。
SBC並に低いビットレートでも原音再現性が高い。
48kHz/16bitだったaptXを、48kHz/24bitに拡張したコーデックがaptX HDになる1
LDAC 高音質 低い 非開示 ハイレゾリューションオーディオに対応させるためにソニーが開発。

Android 8.0以降はLDAC, apt-X HDにも対応

Android 8.0

2017年8月21日にリリースされたOS。コードネームはOreo

ただし、SBC以外のコーデックが使えるかどうかはその端末のメーカーが決めています。一口にAndroidと言っても、iPhoneとは違って色んなメーカーが色んな製品を出していて仕様が微妙に異なるので、同じOSバージョンでも端末によってはLDACやapt-X HDが使える端末と使えない端末が存在します。

ちなみに、大手キャリアだろうがSIMフリーだろうが使えます。2

NFC対応か

そして上記とは別に、もう1つの通信があります。

NFC

Near field communication(近距離無線通信)の略。スマートフォンなどの端末とヘッドフォンをペアリングする時に使う通信のこと。

NFCが使えない場合は各自でキー入力して手動でペアリングする必要があります。とはいえ、このNFCはBluetooth2.1以降で採用されているので、2007年4月以降の機種ならほぼ対応しています。

Bluetoothのバージョン

Bluetoothのバージョンと性能、機能追加の沿革
バージョン 転送速度(データレート) 追加機能 導入時期
Bluetooth1.1 1 Mbps 普及バージョン。BDR(Basic Data Rate)。 2001年2月
Bluetooth1.2 1 Mbps 2.4 GHz帯域の無線LAN (IEEE 802.11/b/g) 等との干渉対策。 2003年11月
Bluetooth2.0 1 Mbps(BDR)
3 Mbps(EDR)
EDR(Enhanced Data Rate)を追加 2004年11月
Bluetooth2.1 NFC(Near field communication)に対応。Sniff Subrating機能を追加。(マウス等のバッテリーを最大5倍延長可能) 2007年3月28日
Bluetooth3.0 24 Mbps HS(High Speed)を追加。4.0より通信速度が速い。 2009年4月21日
Bluetooth4.0 1 Mbps LE(Low Energy)を追加。電池残量可視化。省エネモード対応。 2009年12月17日
Bluetooth4.1 IPv6サポート。LTE電波干渉の改善。自動再接続機能追加。省エネ化。直接インターネット接続可能。ホストとクライアントの並列化。 2013年12月4日
Bluetooth4.2 1 Mbps LEにData Packet Length Extensionを追加。アプリケーションスループット(通信速度)が2.5倍高速化(260 Kbpsから650 Kbpsへ) 2014年12月3日
Bluetooth5 125 Kbps,
500 Kbps,
1 Mbps,
2 Mbps
長距離モードを追加(1~2 Mbpsでは従来通り100 mまで対応、125 Kbps~2 Mbpsなら最大400 mまで対応可能。)。メッシュネットワークに対応。 2016年12月8日
Bluetooth追加機能の略称と正式名称
略称 正式名称 転送速度(データレート) 導入時期
BR
BDR
Basic Rate,
Basic Data Rate
1 Mbps 2001年2月
EDR Enhanced Data Rate 3 Mbps 2004年11月
HS High Speed 24 Mbps 2009年4月21日
LE Low Energy 1~2 Mbps 2009年12月17日

Class

Class

Power ClassはBluetoothの電波強度を規定したもの。3種類または4種類に分類される。Class1の電波強度が最も高い。違うクラスとの通信は可能だが、違うクラスの機器同士が通信した場合はグレードの低い方(Class1とClass2ならClass2)で通信することになる。

BDRとEDRのClass
クラス 最大出力 通信距離
Class1 100 mW 100 m
Class2 2.5 mW 10 m
Class3 1 mW 1 m
LEのClass
クラス 最大出力
Class1 100 mW
Class1.5 10 mW
Class2 2.5 mW
Class3 1 mW

規定数値はガバガバ

例えば、実際の出力が20 mWだろうが30 mWだろうが、Class2の能力(2.5 m)を超えていればClass1を名乗ることができます。

日本でのClass1の出力(空中線電力)の上限と電波法

Class1の出力(空中線電力)は電波法で規制されていて、技適を受けるために100 mWは出せないということ。

ここまではいいんです。じゃあ一体上限はいくらなのか?

インターネットで調べてみると、「10 mW」と「50 mW程度」の2つの数字が出てきました。でも5倍も違うじゃないですか?

うーーん・・・・?ということで調べてみたんですけど、以下のことしか分かりませんでした。専門の人、計算根拠とか教えてください(切実)

  • 日本だとBluetoothの電波は電波法施行規則第六条第4項の小電力データ通信システムの無線局(2.4 GHz帯高度化小電力データ通信システム)に分類される。3

  • この電波を使用するには所有者が許可を受ける必要がある。そうなると面倒だから誰も買わない。

  • でも製品が技適(技術基準適合証明)を受けていれば無免許で運用できる。

  • その出力上限は周波数ホッピングをおこなうタイプなら3 mW/MHz。(OFDM-DS 方式の場合なら10 mW/MHz 以下、それ以外なら10 mW4

Bluetoothには次のような機能はあります。

FHSS:Frequency Hopping Spread Spectrum

周波数ホッピング。短い周期でチャネルを切り替えて無線LANとの干渉を回避する機能。

AFH:Adaptive Frequency Hopping

無線LANが使用している帯域と被らないように自動的にチャネルを見つける機能。

ちなみにWikipediaにはこう書かれていて、10 mWという表記があります。

日本国内でBluetooth機器を利用するには、電波法に基づくいわゆる小電力無線局の一種、最大空中線電力10mWの小電力データ通信システムの無線局として技術基準適合証明を、更に電気通信事業者の回線に接続するものは電気通信事業法に基づく技術基準適合認定も受けたものでなければならない。

出典:Wikipedia

まぁ少なくとも、現状では多くのスマホがClass2で、たとえClass1のヘッドホンを持っていたとしても、結局Class2で通信することになります。

多くの機器はClass2

大抵のヘッドホンやイヤホンはClass2に対応しています。もしClass1に対応していれば、ウリ文句になるので必ずといっていいほど明示されています。公式ページなどを探しても言及がない場合はほぼ確実にClass2だと思ったほうがいいでしょう。
スマートフォンにもClass2を採用している機器が多いです。

Apple iPhoneやAirPodsのBluetoothのClass

確証はありませんがiPhoneもClass2だと言われています。(Appleの公式の記述が見つからない)
スマートフォンは常に手元にあるものなので「そんな性能要らんやろ」っていうことなんでしょうか。

AppleのQ&Aのコミュニティーでは「iPhoneやAirPodsのBluetoothはClass1」だという記述が見られます。コミュニティーユーザーの発言なので本当かは不明です。5

でも、最近だとBeatsのヘッドホンではClass1の製品も出ているんですよね。BeatsはAppleの子会社です。まぁBeatsはあくまでオーディオメーカーですから、別に必ずしもiPhoneにフォーカスしているとは限りませんが、「iPhoneに注力しているAppleがわざわざiPhoneに対応しない製品を出すのかなぁ?」というのが正直な感想です。

Beats Electronics

アメリカで2008年に設立されたオーディオメーカー。創業者はDr. Dre(ドクター・ドレー, Andre Romel Young, 1965年2月18日生まれ)。
2014年にAppleに30億ドルで同社を売却し、Appleは100%主要株主となった。

仮に現状でClass2だったとしても、いずれClass1が採用されるということも考えられます。

PCならClass1の導入が簡単

PCとヘッドホンのリンクをおこなう場合、Class1のUSBアダプタは低価格でも手に入るので比較的導入が簡単です。

Class2の場合、理論的には10 mまで通信できるはずですが、やはり電波干渉やドアや壁などの障害物があればその距離は縮まり、数 mに留まります。特にBluetooth機器は小型で、アンテナが小さいことも一因かもしれません。

ちなみに私は自宅PCでClass2を使っていますが、部屋から出ると音が途切れるなど極端に通信に不具合が発生します。(Class1は試したことないから知らんけど確実に良いと思う)

もし家じゅうどこでも通信できるようにしたいのならやはりClass1のほうが無難でしょう。

出典、参考資料