ラバーコーティングのベタベタを完全に除去する方法6つ

2018年6月14日

ラバーコーティング(ゴム皮膜、ゴム塗装)は、ゲームコントローラーやPCマウス、スーツケースの取っ手、オーディオなどの家電製品によく使われています。

新品の時は肌触りがとてもいいのですが、これが劣化するとネバネバしてきます。特に、放ったらかしてて久しぶりに触ってみたら「うわぁ・・・」という具合。

諦めてそういう製品をすぐに捨てていませんか?ベタベタの取り方がいくつかあるんですよ。

ラバーコーティングが使われている例

例えば次のような製品で使われています。

  • スーツケースの取っ手や持ち手の部分、ゴムグリップ
  • PCマウス
  • 双眼鏡のグリップ
  • クリームホイッパーのグリップ
  • キャンプ用ランタンのスイッチ部分
  • 電動歯ブラシのスイッチ部分
  • エアガンのグリップ

グリップ部分への採用が多いですね。肌触りをよくすることが目的で、手の触れる部分に採用されていることが分かります。

解決策

解決策は主に6つあります。実用的観点でいえば最初の3~4つですけどね。
おすすめ順に紹介します。

無水エタノールで拭く

無水エタノールを雑巾やティッシュに染み込ませて拭く
経験上、アルコール度数が高い方がよく落ちます。でも度数が高いと肌荒れを起こしたりするので、長時間作業する場合はビニール手袋を着用した方が安全です。
ティッシュよりも雑巾の方がしっかり除去できます。ただし雑巾には劣化したゴムのベトベトが付くので捨てることになります。

無水エタノールは汎用性が高く、しかも経済的なので最もおすすめです。

エタノールは、他にもこんなことに使えます。

精密機器の掃除にも役立つ

PCやキーボードなどの精密機器に水は大敵です。水の代わりにアルコールを染み込ませたもので拭き取ると、故障もなく、皮脂汚れもしっかりも落ちます。その他、デジタルカメラのレンズのクリーナーとしても使えます。

キッチンの油汚れにも使える

キッチンの油汚れは基本的には中性洗剤を使用すると思いますが、作業台などは食品を扱う場所ですから、サッと油汚れを拭きたい時はアルコールの方が安心感があります。

殺菌・除菌スプレーとして使える

少し水を混ぜてアルコール濃度を薄めれば、殺菌・除菌スプレーとしても使えます。
[アルコール7 : 水3]で薄めると経済的です。

消臭スプレーとしても使える

殺菌スプレーよりもアルコール濃度を下げれば、消臭スプレーとしても使えます。
[アルコール3 : 水7]に香水を数滴加えると良い香りがします。

殺菌効果が最も高いアルコール度数は?

目的によって一概には言えませんが、多くの場合は60%~95%です。もう少し範囲を狭くすると77%~81.4%。これは国や地域の推奨値によるブレです。
下にいくつか具体例を挙げてみます。

  • エンベロープを持つウイルス除菌が目的なら100%に近いほど良い金沢医科大学
  • ウイルス除菌、その他の除菌が目的なら77%前後~95%
  • ウイルスを除く殺菌、除菌が目的なら70%~80%株式会社折兼
  • 除菌、消臭の両方が目的なら60%台
  • 消臭だけでいいなら20%~30%程度

60%台~95%なら殺菌効果や消毒能力にほとんど差がありません。つまり消毒目的で使うのなら、60%台近くまで薄めた方がお得だということです。1

厚生労働省にもこんなアナウンスがあります。↓↓↓

<使用方法>濃度70%以上95%以下(※)のエタノールを用いて拭き取ります。 (※) 60%台のエタノールによる消毒でも一定の有効性があると考えられる報告があり、70%以上のエタノールが入手困難な場合には、60%台のエタノールを使用した消毒も差し支えありません

出典:厚生労働省

一般的な消臭スプレーのアルコール濃度は?

ちなみに、市販の消臭スプレーの場合は航空輸送上の危険物にあたらない24%未満が一般的なようです。(花王Q&A
多くのメーカーは濃度を非公表にしています。使用感としては、実際の濃度は24%のラインよりもっと低いんじゃないかな?と感じています。

無水エタノールと消毒用エタノールの違い

エタノールを買おうとすると、無水エタノールと消毒用エタノールの2種類を見かけます。
「どう違うのかな?」と疑問に思いませんか?結論を言うと、違いはアルコール濃度だけです。使われているアルコールはどちらも全く同じ「エタノール(エチルアルコール)」で、成分は全く同じです。

薄めていないものを無水エタノールと呼び、精製水で薄めたものを消毒用エタノールと呼んでいるだけです。

無水エタノールは消毒用に使用していいの?

エタノールから水を取り除いて純度を高めるのは96%が限界です。4%の水は共沸によって残ります。更にこれを取り除くには、昔はベンゼンを使っていましたが、発がん性があるため、現在ではペンタンを使っています。

となると気になるのは「発がん性が無いとは言え、精製時にペンタンを使った無水エタノールを消毒用エタノールとして使うのは良くないのでは?」という疑問です。

無水エタノールを販売している健栄製薬のQAコーナー「よくあるご質問」で次の記述を見つけました。

糖尿病の自己注射を行う際の消毒には何を使用すればいいですか?

消毒用エタノールまたは消毒用エタノールIP「ケンエー」をご使用ください。無水エタノールまたはエタノールを使用される場合は、下記の表の通りに希釈してご使用ください

出典:健栄製薬

製薬会社も無水エタノールは消毒用に使うな!とは言っていないんですよね。

市販の消毒用は70%~80%に希釈されています。それなのに値段はあんまり安くない・・・・自分で水道水で薄めた方がお得です。本当は精製水で薄める方が好ましいのですが、水道水でも問題はありません。ちなみに、水道水だろうが精製水だろうが、アルコールに水を混ぜると少し熱が発生します
また、スプレーボトル内で混ぜてすぐに蓋をすると内圧で吹き出すことがあるので、1,2分はフタを閉めないことをオススメします。

アルコール入りのウェットティッシュで拭く

100均の製品だと20%~30%、或いは大手メーカーの製品だと30%~50%で、度数はかなり幅広くあります。調べたウェットティッシュのなかで最も度数が高い製品はアルコール度数80%でした。

ウェットティッシュも他の用途に使うことが出来るのでオススメ。

ちなみにアルコール濃度が80%の製品はしたのやつです。↓↓↓

アセトンで拭く

アセトンとは靴磨きの時に使うリムーバーやマニキュア落としに使われている液体です。 無水エタノールと同様、ゴムのベタベタを取ることができますが、有機溶剤 独特のニオイが気になります

例えばラバーコーティングの近くに木材やスポンジなどの素材が使われている場合、そのニオイが移りやすいです。また、部品同士のジョイントがあると、その隙間にアセトンが入り込み、ニオイが残りやすくなります。

エタノールに比べて他に使える用途が少ないのがデメリットです。

重曹で擦る

炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムが1:1の割合で構成された重曹(セスキ炭酸ナトリウム、化学式:Na2CO3・NaHCO3)を使うなら次のどちらかです。

  • ラバー部分を水で濡らしその上から重曹を振りかける。
  • 重曹を見るやつラバー部分に塗布する。

あとは歯ブラシや布でこするだけです。落ちにくい場合はつけ置きすると効果的です。

ただし、洗い流す時などに水を使うことになるので、家電に対してはあまり適さない方法です。

歯磨き粉で磨く

歯磨き粉を使って歯ブラシで磨くだけです。
他の方法よりもベトベトが除去しにくい、対象物に傷がつきやすい、洗い流すために水が必要なので電化製品、精密機器などには使えないなどデメリットが多いので、あまりオススメはできません。

消しゴムで擦る

個人的には歯磨き粉と消しゴムの2つはお勧めできない方法です。理由は主に2つ。

  • 消しゴムにベタベタがつく。
  • 消しゴムでこすった傷跡が付く。

ラバー塗装の下地は大抵ツルツルのプラスチックです。これを消しゴムでこするとプラスチックに傷がつき、見た目が悪くなる可能性があります

また完全に取りきれない場合もあり、結局はアルコール拭きで仕上げたくなります。他の方法に比べて手間が掛かります。

原因は加水分解、可塑剤の溶出

加水分解

加水分解(hydrolysis)とは、水と化合物が反応して分解生成物を得る分解反応のこと。

可塑剤

ゴム素材を柔らかくするためのもの。ゴムの生成時に混ぜ込む。

放置すると劣化しやすい理由

加水分解するには水が必要です。
部屋でデスクの上などに製品等を放置するとホコリをかぶります。一見するとホコリは乾燥しているように見えますが、実際には空気中の水分がホコリに留まりやすいのです。

これを放置するとゴムと多量の水蒸気が長時間接することになり、ゴムが劣化しやすくなり、短期間でベタつき始めます。

  • 掃除していないホコリだらけの部屋がカビ臭くなる。
  • 脱衣洗面所にあるタオル掛けの金属部分やトイレの蛇口の金属が錆びる。

これらも同じ理由で、ホコリ+水分による劣化です。こまめに掃除すれば防ぐことができます。

まとめ

というわけで、総合的には無水エタノール、消毒用エタノール、アルコール・ウェット・ティッシュ、アセトンのいずれかを使用することをおすすめします。効果的で経済的で他にも使い道があるからです。