動画編集用グラボおすすめランキング【2025年】(Davinci Resolve)

2022年2月13日

Windows版Davinci Resolveを前提として、動画編集用おすすめグラフィックボードを紹介します。編集ソフトはDavinci Resolveを基準にしていますが、Premiere Proにも通用するランキングになっています。

前提条件

NVIDIA製かIntel製であること(例外あり)

このページではほぼNVIDIA製品を紹介していますが、その理由は別ページでまとめています。↓↓↓

有償版を使うこと

これは前提というより注意喚起として。有料ソフトを買えというのは抵抗がありますが、「無償版のDavinci Resolve+高級グラボ」よりも、「有償版Davinci Resolve Studio+安いグラボ」のほうが圧倒的に高いパフォーマンスを得られるので、グラボではなく有償版Davinci Resolve Studioへの予算を優先してください。(案件でも何でもない)

Davinci Resolve Studio購入時の注意点とかは別のページにまとめましたので、よかったら参考にしてください。

1位: Radeon RX 7900 XTX 24GB (8K & Davinci用に特化 & コスパ)

Radeon™ RX 7900 XTX

メーカー公式ページ。

ここで紹介するスタンス
  • コスパと快適性を両立
  • 動画編集を主目的とする人向け(生成AI、BlenderやAutodesk, 3D CADなどを基本的にはやらない人向け)

「なんでNVidia製を推奨しておきながらここでAMD製やねん」については「本体コスパが良すぎる」に尽きます。

Radeon RX 7900 XTXの強み
  • 大容量VRAM 24GBが魅力的すぎる
  • 編集時の使用感がヌルヌル(デコードに強い)
  • エンコードも割と強い
  • 本体コスパが優秀

ソフトの設計上、Davinci ResolveにはNVIDIA製が適していますが、AMD製が全く論外かというと、価格次第ではそうでもありません。Davinci ResolveベンチマークにおけるRX7900XTXの総合スコアはRTX4090と同格です。

GPUモデル CU/CUDA コア数 VRAM / バス幅 / 帯域幅 FP32 性能 AI(INT8/INT4) & RT PCIe 製造プロセス TDP
RX 7900 XTX 96 CU (6,144 SP) 24 GB GDDR6 / 384‑bit / 960 GB/s 約 61.4 TFLOPS RT:96/AI INT8 ≈123 TOPS Gen4 x16 5 nm (GCD) + 6 nm (MCD) 約 355 W
RX 7900 XT 84 CU (5,376 SP) 20 GB GDDR6 / 320‑bit / 800 GB/s 約 48.7 TFLOPS RT:84/AI 中程度 Gen4 x16 5 nm + 6 nm 約 300 W
RX 9070 XT 64 CU (4,096 SP) 16 GB GDDR6 / 256‑bit / 640 GB/s 約 48.7 TFLOPS RT:64/AI INT8 ≈389 TOPS(Sparse) Gen5 x16 4 nm (TSMC N4P) 約 304 W
RTX 5090 21,760 CUDA 32 GB GDDR7 / 512‑bit / 約 1,792 GB/s 約 104.8 TFLOPS RTコア4世代/AI INT4/INT8 ≈1,676 TOPS Gen5 x16 4N (カスタムTSMC 4 nm) 約 575 W
RTX 5070 Ti 8,960 CUDA 16 GB GDDR7 / 256‑bit / 約 896 GB/s 約 44.35 TFLOPS RTコア4世代/AI INT8 約703 TOPS Gen5 x16 4N 約 300 W
RTX 5060 Ti(16GB) 4,608 CUDA 16 GB GDDR7 / 128‑bit / 448 GB/s 約 23.7 TFLOPS RTコア4世代/AI INT8 約380 TOPS Gen5 x8 4N 約 180 W

大容量VRAM 24GB

現在のデスクトップ用としては最大容量クラスの24GBを搭載。(現時点の最大はRTX5090の32GB)Davinci ResolveはVRAMが16GBもあれば基本的には通用しますが、VRAMが多いと動作が安定します。

  • 8K映像の編集
  • 複数のクリップの同時使用
  • Fusionページでの複雑な作業

編集時の使用感がヌルヌル

デコードやディベイヤーはRTX4080並みに優秀なのでカクつかず、ストレスなくスムーズな操作感を得やすい。経験者なら分かると思いますが、これは動画編集で最も大事な要素です。Davinci Resolveでのディベイヤースコアは1世代前の6900XT(16GB)より62%アップ、デコードスコアも61%アップ、トータルスコアでも30%アップ

エンコード速度も悪くない

正直、エンコード速度はRTX4090に比べるといくらか見劣りします。でも動画編集ソフトに限った話でいえばそこまでの弱点だとは思いません。

よく書き出し速度を比較する動画をYoutubeで見かけますが、書き出しは最後の工程です。Editページでもプロキシ生成やレンダーキャッシュ生成でエンコードされますけど、編集全体から見ればごく一部ですし、CPU性能にも左右されます。これがちょっと遅いくらいでそこまで問題があるでしょうか?

むしろ作業時のタイムラインやシークバーのヌルヌル、操作性、快適性に影響のあるデコード性能のほうが遥かに重要です。その点では7900XTXはRTX4090にも引けを取らず、RTX4080より速い。しかもこのデータはAMD CPUではなくIntel CPU(i9 9900K)を使ったときの話で、相性問題を無視しても高性能だということです。私も以前まではAMDグラボはAMDのCPUじゃないと本領を発揮できないのではないかと疑問視していたので、このデータととても安心できる材料の1つと言えます。

本体コスパが優秀

RX7900XTXの実勢価格は11-15万円。一方、対抗のRTX4090や上位互換のRTX5090も40-60万円。5080(16GB)でも16-27万円。いくらNVidiaが優秀だからといっても、この価格差はあまりに大きい。

Radeon RX 7900 XTXの弱み
  • APIがOpenCL(ソフトウェア面ではCUDAを使うNVidiaより不利)
  • AIではNVidiaに敵わない
  • Blenderでの性能は2080Ti(12GB)程度しかない(RTX4090とは3.5倍のスコア差で大負け!これは恐らくどの3Dソフトでもそう)

APIがOpenCL

AMDグラボは、MacならMetalというAPIが使えますが、WindowsではMetalが使えないので仕方なくOpenCLで駆動するのですが、このOpenCLが古いAPIなので、CUDAを使えるNVidiaより性能を発揮しずらい。これがDavinci ResolveでNVidiaグラボが推奨される理由です。また、AMD Vulkanも使えません。

でもこれ、プラスに考えると「もしVulkanが使えるようになったら性能アップができる可能性を秘めている」とも言えます。Davinci Resolveはアップデートが非常に頻繁に行われるソフトなので、期待は膨らみます。(ただしMacのCUDAサポートはなくなったらしいので、開発元としても取捨選択はあるみたい)

詳細は別ページでまとめています。↓↓↓

AIではNVidiaに敵わない

Davinci ResolveのGPUエフェクト(カラグレ、ノイズリダクションなど)のスコアはRTX3090TiやRTX4080と同格で、RTX4090より35%も劣ります。(価格差を考えれば大健闘だが)

生成AIの場合、生成速度はNVidiaより劣っていて、生成時間は何倍も掛かるので、生成AIもがっつりやりたければAMDグラボは避けるべきです。ただしVRAMが24GBもあるので、大容量を武器に大きなスケールの生成は可能になります。

RX 9070 XTはだめなの?

ここまで話をすると、「2025年に登場したRX 9070 XTではアカンのか?」という疑問が湧いてくるでしょう。結論から言うと、「安さ次第ではアリ」です。その理由を以下に簡素にまとめます。

  • VRAMが16GBに落ちるので重い動画編集では不利。
  • AI TOPSではRTX 7900 XTXより有利だが、そもそも生成AIではRTX 5070 Tiにすら圧倒的に劣るので、RTX5070 Tiとの価格差が50%以上ならアリ。
  • RX 7900 XTXよりも40%以上安い価格なら十分対抗になりうる
  • RX9070XTはゲーム性能は優秀だが、動画編集ではちょっと畑違いな気がする。

2位: NVidia GeForce RTX 5060Ti 16GB(4K & コスパ重視)

GeForce RTX 5060 ファミリ

メーカー公式ページ。

ここで紹介するスタンス
  • コスパと快適を両立したい
  • 生成AIも使いたい

お財布事情は人によるので置いておくとして、コスパのみで語れば、3060や4060より5060Ti(16GB)が圧倒的に優れています。








GPU PCIe メモリ帯域幅 (GB/sec) DLSS AI TOPS GDDR NVIDIA CUDA コア Tensor コア RTコア NVIDIA Encoder (NVENC) NVIDIA Decoder (NVDEC) AV1 エンコード AV1 デコード
5060Ti
(16GB)
Gen5
x8
448 4 759 7 4608 Gen 5
120基
Gen 4
48基
Gen 9
x 1
Gen 6
x 1
Yes Yes
5060
(8GB)
Gen5
x8
448 4 614 7 3840 Gen 5
96基
Gen 4
40基
Gen 9
x 1
Gen 6
x 1
Yes Yes
4060
(8GB)
Gen4
x8
272 3.5 242 6 3072 Gen 4
96基
Gen 3
36基
Gen 8
x 1
Gen 5
x 1
Yes Yes
3060
(12GB)
Gen4
x8
360 2 102 6 3584 Gen 3
112基
Gen 2
28基
Gen 7
x 1
Gen 5
x 1
Yes
1660S
(6GB)
Gen3
x16
336 6 1408 Gen 6
x 1
Gen 4
x 1
1660
(6GB)
Gen3
x16
192 5 1408 Gen 6
x 1
Gen 4
x 1

帯域幅だけでは語れない

GPU メモリ帯域幅 (GB/sec)
5060Ti(16GB) 448
5060(8GB) 448
3060(12GB) 360
1660S(6GB) 336
4060(8GB) 272
1660(6GB) 192

帯域幅=1秒間の通信データ総量なので、この数字を重視する人もいますが、それにはちょっと注意が必要です。

この表で見ると、RTX5060は448 GB/secで、1660 SUPERの336 GB/secと比べて+33%しか差がありません。でもベンチマークスコアでは80%以上も差があり、使用感では更に大きな差があります。もちろん両者のメモリ容量だけでも快適性には大きな差が出るのですが、これは、「仮に1660 SUPERがメモリを食い尽くしていなくても大きな差がある」という話です。

私は1660 SUPERを使ってますけど、4Kプロキシ無しだとかなりストレスがあります。つまり帯域幅だけでは語れないということです。とはいえ指標の1つになることは確かで、最低でも300 GB/sec、できれば400 GB/sec以上はあったほうが望ましいでしょうね。ちなみにApple M4シリーズだと120-546 GB/sです。

1660 SUPERのレビューはこちら

AI TOPSが7.5倍(3060比)

GPU AI TOPS
5060Ti(16GB) 759
5060(8GB) 614
4060(8GB) 242
3060(12GB) 102
1660S(6GB)

最近はDavinci ResolveでもAIの活用が盛んで、AI SUPER SCALE、トラッキング、フレーム補間などの処理には恐らくAIが大きく寄与しているので、高負荷の作業も視野に入れているなら5060Ti(16GB)のほうが圧倒的に快適です。

Stable Diffusionでも活躍

生成AIを視野に入れているなら、なおさら大容量VRAMの5060 16GBがおすすめです。

上で言ったように、GTX世代とRTX世代ではAI性能にかなり差があります。例えばStable DiffusionでFHDの画像を生成しようとした場合、RTX3060 12GBなら4秒くらいで生成できる画像でも、1660 SUPER 6GBでは10分くらいかかります。1660Sは512×512くらいであれば10分くらいで生成できても、画素数が増えると取り扱うデータが膨大になり、VRAM不足でパンクしたりクラッシュしてしまいます。4Kならまだしも、FHDですらそういうことが起こるので、大容量VRAMはかなり重宝するはずです。

3位: Intel Arc A380(FHD~8K画質 & コスパ重視)

ここで紹介するスタンス
  • 既にグラボを持ってるけど更に改善したい
  • とにかく予算は節約したい
  • Davinci Resolveの快適性のみにフォーカス

まさかこんなところでIntel Arcがオススメだなんて意外ではありませんか?しかもA380って。私も以前まではIntel Arcに懐疑的でしたが、Davinci Resolveに限っていえばIntel Arcはめちゃくちゃコスパが良くて、しかも既にRTX 4090みたいなハイエンドグラボを使っている人にとっても有益なグラフィックボードになり得ます。

デコード・エンコードに強い

Intel ArcはAV1やH.265 4:2:2 10-bitをサポートしています。これがの最大の強み。NVIDIA製グラボでも40シリーズの時点ではH.265 4:2:2 10-bitに対応していません。

Intel Core iシリーズ第10世代以前、或いはAMD製CPUはデコードにおいて多くのコーデックに非対応ですが、Intel Arcがあればそのデコードを担い、CPUの負荷率を大幅に低減してくれるのでDavinci Resolveの動作が軽快になります。つまり、しょぼいCPUでも既に高性能でも劇的に快適になる可能性があります。

Ryzen CPUのハイエンドPCに有益

下の動画は、Ryzen 5950XにRTX 4090のハイスペックPCにおいて、Intel Arc A380を追加することで環境が劇的に改善したという動画です。

この動画では2つのことを言っています。

  • H.265 4:2:2 10-bitで、デコードにIntel Arc A380を割り当てたらAMD CPU負荷が軽減して快適になった
  • AV1で、エンコードにIntel Arc A380、デコードにRTX 4090を割り当てたら高速化した

この要因は、Ryzen5000シリーズがH.265 4:2:2 10-bitのデコードに対応していないためです。一応Ryzen5000シリーズや7000シリーズはH.265 10-bitに対応しているというアナウンスはありますが、具体的なフォーマットは不明です。ここは憶測ですが、Ryzen5000シリーズや7000シリーズは4:2:0 10bitには対応しているものの4:2:2 10bitには対応していないのではないかと思われます。

なので、Ryzen CPU構成でIntel Arcを使うと、4:2:2 10bit映像においてめっちゃ軽くなるメリットが得られます

冒頭でも触れた話をもう一度します。RTX 20シリーズ以降のモデルでは既に多くのフォーマットに対応していますが、RTX 40シリーズでさえH.265 4:2:2 10bitには対応していません

グラボ2枚刺しに注意点!予算があるならIntel Arc A770

有償版Davinci Resolve Studioの場合は2枚以上のグラフィックボードも認識してくれるので、既存のハイエンドグラボとIntel Arcの2枚刺しといった構成が可能です。

一方、無償版のDavinci Resolveはグラボを1枚しか認識できません。Intel Arc A380はVRAMが6GBで少し頼りないので、もし無償版Davinci Resolveを使うならIntel Arc A770(16GB)の1枚刺しがオススメです。

4位: NVIDIA Geforce RTX 5070 Ti(使用感重視)

GeForce RTX 5070 ファミリ

メーカー公式ページ。

ここで紹介するスタンス
  • とにかく快適にしたい
  • 生成AIも使いたい
ここで紹介するスタンス
  • Davinci Resolveだけでなく、ゲーム、生成AI、VRchat等トータルでの使用感も重視
  • 安さ重視ではなく、満足感とコスパを両立

RTX 3090より優秀

GPU PCIe メモリ帯域幅 (GB/sec) DLSS AI TOPS GDDR NVIDIA CUDA コア Tensor コア レイ トレーシング コア NVIDIA Encoder (NVENC) NVIDIA Decoder (NVDEC) AV1 エンコード AV1 デコード
RTX 5070 Ti 5 896 DLSS 4 1406 GDDR7 8960 5th Gen 4th Gen 9th Gen x 2 6th Gen x 1 Yes Yes
RTX 4080 4 716.8 DLSS 3 推定 700+ GDDR6X 9728 4th Gen 3rd Gen 8th Gen x 1 5th Gen x 1 Yes Yes
RTX 3090 4 936.2 DLSS 2 推定 300+ GDDR6X 10496 3rd Gen 2nd Gen 7th Gen x 1 5th Gen x 1 No Yes
RTX 5060 Ti, RTX 5070, RTX 5070 Ti, RTX 4080, 3090の比較一覧
項目 RTX 5060 Ti RTX 5070 RTX 5070 Ti RTX 4080 3090
プロセスルール 非公開 (4nm?) 非公開 (4nm?) 非公開 (4nm?) 4nm 8nm
ブーストクロック(GHz 2.57 2.51 2.45 2.51 1.70
CUDAコア 4608 6144 8960 9728 10496
メモリ 16 GB GDDR7 12 GB GDDR7 16 GB GDDR7 16 GB GDDR6X 24 GB GDDR6X
RTコア 4th Gen 4th Gen 4th Gen 3rd Gen 2nd Gen
Tensorコア 5th Gen 5th Gen 5th Gen 4th Gen 3rd Gen
L2キャッシュ(MB) 36 48 48 64 6
DLSS 4 4 4 3 2
NVEnc 9th Gen x 1 9th Gen x 1 9th Gen x 2 8th Gen x 2 7th Gen x 1
NVDec 6th Gen x 1 6th Gen x 1 6th Gen x 1 5th Gen 5th Gen
AV1エンコード Yes Yes Yes Yes
AV1デコード Yes Yes Yes Yes Yes
消費電力 180 250 300 320 350
電源要件 600 650 750 700 750
AI TOPS 759 988 1406 780 285

AI TOPSはRTX3090の約5倍

  • RTX 5070 Ti:1406
  • RTX 3090 :285

RTX3090といえば、一昔前はとんでもない性能を持っている憧れの的でした。、AI演算ではそれがいまや、RTX5070TiにはRTX3090の4.93倍の性能があります。素敵すぎる。Stable Diffusionとか生成AIもゴリゴリやりたい人には特におすすめ。

色んな部分が新世代に対応

  • RTコア(レイトレーシング)が第 4 世代へ
  • Tensorコアが第 5 世代へ
  • NVEncが第 9 世代へ
  • AV1エンコードにも対応

RTX 3090と比べて、色んな部分で技術革新しています。これは単に「ちょっと性能がよくなる」だけではなく、将来、新しいソフトウェアや新技術が登場した際に、その恩恵を受けられる対応機種かどうかが変わってくる場合があるので、最新シリーズのほうが賢明です。

エンコード処理時間は4090並に優秀

  • NVエンコーダーは第 9 世代へ(RTX 30シリーズはすべて第 7 世代)
  • 3090Ti < 4070Ti SUPER < 5070Ti と、昔のハイエンドより速い
  • 5070Tiと5070を比較しても、5070Tiのほうが35%高速とのデータもあり
ここで一旦、過去モデル4070 Ti SUPERの話

Davinci Resolveのエンコード速度で比較すると、4070 Ti SUPERは3090Tiより10~20%速くなったが、RTX 4090とでは大差がない。つまりこれは、エンコーダーの数ではなく新世代のエンコーダーによる恩恵と考えられます。また、Ada Lovelace世代以降で新しく対応したAV1エンコードはHEVCより高画質に書き出せて、処理速度も20%速い。

ただしこの結果は、10分程度の簡単な編集の動画を書き出した場合です。恐らくですが、極端に重い動画・容量の大きい動画の場合、エンコード(デリバー)だけに限っていえばVRAMの恩恵を受けるRTX 3090 Tiのほうが速いかもしれません。

RTX 4080だとエンコーダーが2基搭載されていますが、RTX 4070 Ti SUPERは1基のみ搭載されています。2基搭載における体感レベルの恩恵についてはかなり不明点が多いですが、1つのタスクについてエンコーダーが同時並列処理をすることは考えにくいので、少なくともDavinci Resolve単体ではそこまで恩恵はないと感じています

じゃあどこで役立つ??PC Watchによると、2023年初めにエンコーダーの同時セッション数が3から5に強化されている(更に、2024年には5から8へ強化|マイナビ)ので、複数同時セッションの高負荷環境で恩恵があるのかな?という感じ。例えばTwitch, youtubeなどへの複数同時配信・複数録画時に遅延やコマ落ち等のトラブルなく軽快でスムーズに動作するとか、バックグラウンドでデリバーをしつつ他のグラフィック系作業をするときなど。

ちなみに、エンコーダーを2基搭載しているのは40シリーズ以降であり、且つRTX 4070 Ti以上の機種のみです。ただしRTX 4070 Ti SUPERは1基。

VRAMは16 GBで十分

RTX 5070 Tiは多くのモデルが10万円前後なのに対して、RTX 3090 Tiは30万円~40万円でRTX 4090と大差がないので、性能を求めるなかでわざわざ旧シリーズを買うメリットはあまり感じられません。

RTX 5070 TiはRTX 3090Tiよりも優秀で、しかもDavinci Resolveのみに関して言えばRTX 4090並みに優秀。欠点といえばVRAMが16 GBである点くらい。

でも、Davinci ResolveではVRAMが16 GBもあれば、テロップ挿入、4Kの複数の動画の組み合わせなど、大体のことはストレスなく処理できます。

充実した環境を目指すなら、VRAMは最低でも16 GBは欲しい。けど16 GBあれば十分とも言えるんです。何だか矛盾しているように聞こえるかもしれませんけど、価格とかも考えると16 GBが丁度良いんです。

VRAMの容量とDavinci Resolveの操作感
容量 Davinci Resolve
24 GB以上 大抵のことはストレスなし
16 GB 4Kの重い編集、8K60pはギリギリ
12 GB 4Kの少し重い編集でもストレスなし/8K30pはギリギリ
8 GB 4Kの軽い編集ならストレスなし/8Kは無理
6 GB 4K動画ではスムーズさがなく少しストレス
2 GB 4K動画ではすぐ落ちる/1080pでもストレス

また、更に安さを重視するのであればRTX 3060 (12GB)がおすすめです。↓↓↓

5位: Geforce RTX 3060 (12GB)(4K & 安さ重視)

ここで紹介するスタンス
  • Davinci Resolveでの使用感のみにフォーカス
  • 安さと動作の安定性を重視したチョイス
GeForce RTX 3060 ファミリ

メーカー公式ページ。

RTX 3060 (12GB)は4万円~、4060Ti (16GB)は7万円~

結論から言うと、4060Ti (16GB)を7万円で買うくらいなら、【Intel Arc A770】、もしくは【RTX 3060 (12GB)+Intel Arc A380】を買った方がいい。もちろん2枚刺しの場合はDavinci Resolve Studioが前提です。

RTX 4060/4060Ti(8GB)は2023年5月頃からの登場。RTX 4060 Ti (16GB)は2023年夏以降に登場。基本的にスペックは8GB版と同じで、メモリ容量だけが16GBに増えたバージョンと考えていいです。(GEFORCE RTX 4060 ファミリ(公式ページ)

スペックだけで言えばRTX 3060(12GB)よりもRTX 4060 Ti (16GB)のほうがいい。でも2倍近い価格差を考えるとそうもいきません。

「じゃあスペック的にRTX 3060(12GB)はどう劣っていてどういう我慢が必要か」、優劣の目立つ部分を下にまとめます。

RTX 3060(12GB)と4060Ti (16GB)の比較一覧
項目 RTX 3060(12GB) RTX 4060Ti (16GB)
プロセスルール 8nm 4nm
CUDAコア 3584 4352
ブーストクロック(GHz 1.78 2.54
メモリ 12 GB GDDR6 16 GB GDDR6X
メモリバス 192bit 128bit
RTコア 第 2 世代 第 3 世代
Tensorコア 第 3 世代 第 4 世代
DLSS 2 3
NVEnc 第 7 世代 x1 第 8 世代 x1
NVDec 第 5 世代 第 5 世代
AV1エンコード -(非対応) 新対応
AV1デコード 対応 対応
CUDA機能 8.6 8.9
消費電力 170 165
電源要件 550 550

RTX 3060(12GB)は色んな面においてRTX 4060 Ti (16GB)より劣っているので、タイムラインプロキシの解像度を一段下げるなどの工夫が必要な場面は増えるかもしれません。でも、VRAMが12 GBもあることは、Davinci Resolveの動作安定性に十分貢献しています。

例えば、RTX 3060(12GB)のCUDAコア数は約3600ですが、じゃあCUDAコア数が4倍も5倍もあるRTX 4090の書き出し速度が4倍も5倍も書き出しが速いかという、全然そんなことはありません。また逆に、色んなスペックが優れているモデルでもVRAMが8 GBしかなければ、高負荷時の動作は不安定になります。(カクつき、遅延、コマ落ち等)

VR・ゲーム・生成AIもしたいというなら、レイトレーシング関連で優れているRTX 4060 Ti (16GB)のほうが断然優勢だとは思いますが、Davinci Resolveの編集のみでいえば4万円vs7万円の価格差からみてRTX 3060(12GB)のほうが圧倒的にコストパフォーマンスは優れていると言えます。