業務用全自動製氷機、小規模店舗用のおすすめ

2018年8月14日

以前、業務用全自動製氷機を購入する際の気をつけたい点や予備知識、方式別の味や溶けやすさの違いについて説明しました。私が実際に製氷機を購入・導入した経験を踏まえて書いた記事です。

で、このページでは上記リンクの内容を踏まえた上で店舗形態ごとに適した業務用製氷機をいくつか紹介します。

居酒屋、飲食店などの小規模店舗にはIM-25M-2

IM-25M-2

メーカー公式ページ。

ホシザキ製の【台下タイプ】IM-25M-2がオススメ。私もこれの前モデルをスナックに導入したことがあります。

IM-25M-2IM-25Mの後継機で、消費電力が抑えられて省エネ化しています。

概要
機種名 製氷能力 貯氷量 電源 消費電力 外形寸法
IM-25M-2 約24/26kg/日(50/60Hz)
約19/22kg/日(50/60Hz)
自然落下時貯氷量:約8.5kg
最大ストック量:約14kg
単相100V 50/60Hz 0.49kVA(4.9A) 145/165W 幅395×奥行450×高さ770mm

IM-25M-2を推す理由

おおまかにはこんな感じ。

  • 製氷方式がセル方式なので、透明で美味しい大粒の氷が作れる

  • ホシザキ製品のなかで、台下製氷のセル方式の一番小さいサイズ。(執筆時点)

  • 店舗のカウンターの下に設置することができるので目立たないし、カウンターを有効活用できる。

  • 1日あたりの製氷能力25 kgは小型店舗、小規模店舗に最適。

この製氷機で作られる氷は砕いたりする必要がなく、そのままグラスに入れて提供することができます。そのため、回転や効率性を重視した飲食店や居酒屋などで活躍します。

IM-25M-1で作った氷(真ん中、右)

上の写真の真ん中と右は前モデルのIM-25M-1で作った氷です。一番左の氷は自宅の冷蔵庫の製氷皿で作った普通の氷。

ちょっとわかりにくいかもしれませんが、IM-25M-1で作った氷は実際にはもっと透明感があって、圧倒的に綺麗です。この透明度は味や溶けにくさに直結しています。しかも気泡がほとんど入っていないので、弾けて割れにくい。

スナック、居酒屋の客1人あたりの氷消費量は多い

店舗における氷の消費量は次のように計算できます。

居酒屋・スナックでの店舗の氷の消費量の算出計算の公式

客席数×1.6 kg~2.2 kg=製氷機の1日の製氷能力

ざっくり言うと、客席数の2倍

もし客席数が11~16席の店舗なら、約25 kgの製氷機を導入すればいいことが分かります。多くの業務用製氷機の一番小さいサイズは20~25 kgです。

製氷能力と座席数の目安
製氷能力 2.2kgで計算した場合 1.6kgで計算した場合
20kgタイプ 9席 13席
25kgタイプ 11席 16席
35kgタイプ 16席 22席
45kgタイプ 20席 28席
55kgタイプ 25席 34席

でもこれはスナックや居酒屋みたいに飲み物を主に扱うお店の場合です。

飲食店舗の客1人あたりの氷消費量は少ない

一方、ラーメン屋などの飲食店のようなお店の場合は1人のお客さんが氷をたっぷりいれたドリンクを何回もおかわりすることはありません。業態や客席の回転率にもよるでしょうけど、25 kgタイプでも15人~20人程度、あるいはもう少し多くても十分に対応できます。

体験談:IM-25M-1を実際に導入した時の費用や経緯

私は前モデルのIM-25M-1を購入し、実際に、居酒屋店舗に導入したことがあります。購入時のIM-25M-1の市場価格は税込みで16万円ほどでした。

設置する際、浄水器がなかったのでビルトインタイプの浄水器も設置しました。浄水器の水は飲料用としてシンクの蛇口から出ると同時に、分水栓を使って製氷機へと繋いで共用にしました。

工賃込みの合計で20万円~21万円ほどで設置したと記憶しています。参考になれば幸いです。

内訳としては、浄水器の本体価格が2~3万円、製氷機が約16万円、分水栓が1万円弱。材料費だけで19万から20万円必要です。そこに設置費・工賃などが1万円前後くらいだったかと思います。

【卓上タイプ】ならIM-20CM-2もオススメ

どうしても【卓上タイプ】が必要な場合、IM-20CM-2がオススメです。

IM-20CM-2

メーカー公式ページ。

概要
機種名 製氷能力 貯氷量 電源 消費電力 外形寸法
IM-20CM-2 約20/22kg/日(50/60Hz)
約17/19kg/日(50/60Hz)
自然落下時貯氷量:約8kg
最大ストック量:約9kg
単相100V 50/60Hz 0.49kVA(4.9A) 145/170W 幅450×奥行450×高さ630mm

特徴

  • 製氷方式はセル方式なので、透明で美味しい氷が作れる

  • ホシザキ製品のなかで、唯一の卓上タイプ。(執筆時点)

  • IM-20CM-2は卓上、IM-20CM-2-Fは床置型で長い脚を持つ。

  • カウンターや作業台の上にも置けるし、脚付きならカウンターの下に設置することもできる。

  • 1日あたりの製氷能力20 kgは小型店舗、小規模店舗に最適。

以前のモデル(IM-20CM)は、例えば消費電力の効率が悪い割に製氷能力が小さいなどの欠点が目立ったのであまりオススメできませんでした。でも今のモデルはIM-25M-2と比べても遜色がない印象。

客席が10席未満なら、脚付きタイプのIM-20CM-2-Fもアリです。

スナック、バーなどの小規模店舗

  • 居酒屋
  • スナック&バー

一見するとこの2つは同じに見えます。必要な氷の量はそんなに変わりませんからね。

でも性質は少し異なります。

【スナックやバー】の店舗では【ビッグアイス】や【キューブアイス(8cm角)】などの大きな氷が必要となる場合があります。

なぜなら、オン・ザ・ロック用の氷や、ステア用(ミキシンググラスで混ぜる用)のかち割り氷が必要だからです。

これらの大きな氷はそのまま使うことができないので、割ったり削ったり何かしらの加工が必要です。そういうのが面倒なら上で紹介した製品の方がオススメです。でも水商売はそういうところで商品価値を生み出しています。

  • 大きな氷を使って飲み物を溶けにくくする

  • 特別感を演出する

これらのサービスで料金を取っています。自分が客だとして、高いお金を払っているのに、出来合いの小さなキューブアイスでステアされたらイヤではありませんか?(お店の雰囲気やグレードにもよりますけど)

以下では、【ビッグアイス】、【キューブアイス(8cm角)】のそれぞれの製氷機のメリット・デメリットを挙げます。

【キューブアイスメーカー(8cm角)】ホシザキ 製氷機 IM-95TM-1-80

先に結論を言うと、サブ機としては優秀ですが、一般的な店舗にこの製氷機の導入はオススメできません。なのでさら~っと読み流してください。

8cmは、男性の指の付け根4本分くらいの幅です。女性だと親指から小指まで5本分くらいの幅でしょうか。

概要
機種名 製氷能力 貯氷量 電源 消費電力 外形寸法
IM-95TM-1-80 約9/10kg/日(50/60Hz)
約9/10kg/日(50/60Hz)
自然落下時貯水量:約19kg
最大ストック量:約28kg
単相100V 50/60Hz 0.99kVA(9.9A) 460/530W 1000×奥行600×高さ850mm

特徴

  • 8 cm(80 mm)角の氷を作ることができ、オン・ザ・ロック用の丸氷(ランプ・オブ・アイス)として使うことが出来る。

  • 砕けばかち割り氷、クラッシュドアイスなど、幅広く活用できる。

  • ただし加工を前提とすることが多く、ちょっと面倒。

生成効率が悪い

この製品は大きな氷を作ることができるので、色々な使い方ができます。でも、大きな氷を作るのはとても生成効率が悪い。他の製品に比べてかなり大きく、消費電力も2~3倍も高いのに、作れる氷は1日に10 kgで、他の製品よりはるかに少ないです。

大きな氷を作れることはすごく魅力的ですが、デメリットもあるので、サブ機の要素が強い製品です。

そこで、これの代わりにメイン機として注目したいのがLM-250M-1です。↓↓↓

【ビッグアイスメーカー】ホシザキ 製氷機 LM-250M-1

概要
機種名 製氷能力 貯氷量 電源 消費電力 外形寸法
LM-250M-1 約26/28kg/日(50/60Hz)
約22/24kg/日(50/60Hz)
自然落下時貯氷量:約6kg
最大ストック量:約10kg
単相100V 50/60Hz 0.5kVA(5.0A) 220/240W 幅500×奥行450×高さ850mm

特徴

  • ビッグアイス(48×48×58 mm)を作ることができる。(1個で約133ccとなる)

  • 手の平に収まるこの氷を半分に割れば、ちょうどいいサイズのかち割り氷となる。(48×48×29)

  • 多くのグラスは口径が60 mm以上はあるので、寸法的にはそのままグラスに入れることも可能。

  • 小さめのロックアイスとして、角だけ落として使うのもアリ。

このビッグアイスメーカーだとオン・ザ・ロック用に1個の氷から削り出す「ランプ・オブ・アイス」としては少し小さいですが、通常よりかは大きな氷を作れること、製氷効率、省エネ性能、コンパクト性などを総合的に見ると非常に優れています。

もし私がバーやスナックを経営するなら、このLM-250M-1を導入し、普段はかち割りとして使いつつ、オン・ザ・ロックの時だけは角だけ落として使うか、市販の板氷、業者取り寄せのブロックアイスを使うでしょう。オン・ザ・ロックってそんな頻繁に注文されることがありませんからね。

ただし、角を落としたりかち割ったり氷に何かしら手を加える必要はあるため、面倒くさがり、初めて製氷機を買う人にはオススメできません。

角を落とした氷が欲しいなら ホシザキ IM-55M-2-Q

IM-55M-2-Qなら、ゴルフボールみたいな氷「ホールインアイス」が全自動で作れます。

ホールインアイスメーカー IM-55M-2-Q

メーカー公式ページ。

ホールインアイス

直径約45 mmのゴルフボール大の球体の氷。高級感を演出することができる。

メリット

特別感はハンパじゃありません。球体の氷は表面積が小さくて溶けにくいので、お酒や飲み物も薄くなりにくい。

デメリット

  • 本体サイズが少し大きい
  • 生成効率が少し悪い
  • 本体価格が高い

特に本体価格が通常の製氷機よりもかなり高いので、使用する用途にデメリットを覆すだけの魅力を見出せるかが購入のポイントになるかと思います。