Davinci Resolveでの8K60p映像編集用CPUオススメ3選
8K60pの映像は、単純計算で4K30pの8倍くらいの重さがあります。じゃあ民生用の範囲ならどんなCPUにすべき?
そもそも「Davinci Resolveに必要なCPUってどんなの?」とか、「Davinci ResolveでのCPUの役割って何?」みたいな疑問点は下記リンクで紹介しています。
もくじ
AMD Ryzen Threadripper 3970X
- AMD Ryzen Threadripper 3970X
AMDの公式ページ。
CPU | Core / Thread | マルチスレッドスコア | シングルスレッドスコア |
---|---|---|---|
Ryzen Threadripper 3970X | 32C / 64T | 64011 | 2697 |
Ryzen 9 5950X | 16C / 32T | 46167 | 3499 |
Ryzen 9 5900X | 12C / 24T | 39467 | 3495 |
Core i9-13900KF | 24C / 32T | 59635 | 4690 |
CINEBENCHも7秒で終わるエグさ
この速さはまじでやばい。思わず笑っちゃいました。私のPCだと数分掛かってるんですけど・・・。
こんな高性能が本当に必要か
3900Xとかでいいんじゃないの?と思う人もいるでしょう?でも8K映像だと、3900Xですら8 fpsに落ち込むこともあるんですよ。しかもずっとCPU稼働率が100%に張り付いています。
ちなみに、私のPC(Xeon E5-2697V2 + GTX1660Super)だと再生した瞬間にVRAM不足でエラー落ちします。コマ送りでさえもっさりした動作で、落ちることもあります。
Davinci Resolveには軽量化するための手法がいくつかあるのでそれを使う手もあります。
- プロキシ再生を1/4に設定する(解像度を下げる再生)
- 最適化メディアを作成する(軽量なデータに置き換える)
でもこれは仕方なく使う方法に過ぎません。
やっぱり8Kを扱うなら、最低でもフッテージをそのまま再生できるスペックくらいは必要です。そうじゃないとネイティブエンコードでとんでもない時間が掛かったり、書き出す前のチェックが出来ませんからね。
- メモ
RyzenとDavinci Resolveの組み合わせの場合、例え多コアであったとしても4KやFHDではすべてのコアが働かない事象が確認されています。例えば3900Xでは、タイムラインの再生時に半分以上のコアが遊んでたりします。(これはCCX(Core Conplex)の話とは別に、わざとコアの負担を片寄らせている設計の可能性もある。ちなみに私のPCのXeon E5-2697V2では全てのコアが均一に近い形で動作する)
でも8K以上の画質やエンコード時はスレッドが全て機能するので持ち腐れになることはありませんし、多コア他スレッドのCPUのほうが圧倒的に有利です。
Threadripper 3990Xはダメなの?
3970Xの上位にはThreadripper 3990Xもありますけど、この2つだったら3970Xのほうがいい。理由は下の動画にあります。(18分45秒から)
- 18分45秒から:書き出し速度の比較
- 28分00秒から:書き出し中のコアの動作確認
3970Xに比べて、3990Xだと逆に遅くなっちゃうみたいなんですよね。ソフトウェアがもっとCPUを使うようにアップデートされれば3990Xのほうが速くなる可能性もありますけど、すぐにそうなる保証もありませんから、3970Xのほうが断然おすすめだと言えます。
Intel Core i9-13900KF(LGA1700, H670 B660 Z690 Z790チップセット)
- インテル® Core™ i9-13900KF プロセッサー
インテル® Core™ i9-13900KF プロセッサー (36M キャッシュ、最大 5.80 GHz) 仕様、機能、およびテクノロジーに関するクイック・リファレンス。
これは4K映像編集に使えるとしても紹介したCPUですが8Kでも使えます。ただし先に結論を言うと、「不足なく使えるか」と問われると「工夫が必要」。
今年もインテル頑張ってる
2021年末までの数年間のインテルは惨憺たるものでしたが、2022年は久々に強いインテルを見た気がします。なにせ各種ベンチマークでもRyzenを超えてきてますからね。Intelがんばっtel!!
PCIE gen5にも対応
Ryzen gen3はPCIE gen4までしか対応していませんが、IntelならGen5にも対応。すぐにどうこう恩恵があるわけではありませんが、長年使用するなら将来性は確保できます。
KとKFの違いはiGPUの有無
- 13900K(iGPU有り)
- 13900KF(iGPU無し)
高性能グラボを積んでCPUをオーバークロックする場合、iGPUが足かせになる場合もあるので、KFを推したい。
KFは自作erに好かれるタイプです。ちなみにRyzenも語尾がXのシリーズは基本的に内蔵GPUは非搭載です。(語尾がGの場合は内蔵有り、他例外あり)
インテル製GPUのグラボ(Intel Arcグラフィックス)を使うのであれば13900KのようにiGPUを搭載している方がパフォーマンスは上がる(とインテルが謳ってる)んですが、NVIDIA製とかを使う場合についてはiGPUの有無がどこまで影響するかはわからない部分も正直あります。
iGPUのせいでDavinci Resolveが動かない?
海外のフォーラムなんか見てみると、「Davinci Resolveが動かないのは多分iGPUのドライバーのバージョンのせい、ドライバー更新したら動いた」と報告する人も見かけました。
この辺はソフトの修正でどうこうで解決できそうなことなので、あんまりあーだこーだと言いたくはないんですが、「避けた方が無難そうだな」と感じたので紹介しておきます。
あと、デリバーの時にネイティブ指定だったらiGPUがあるほうが何か効率良くなりそうな印象もあるんですけど、どれくらいなのか未知数ですし、上記のトラブルとか編集時のスペックを優先するならKFの方がトータルで無難なんじゃないかな?と思います。2
ということで13900KFを推したい。
4K再生時のタスクマネージャー
下の動画は13900KFではなく、12900Kですが参考程度にこちらを見てください↓(3分49秒から)
- タイムライン解像度:4K
- タイムラインプロキシモード:OFF
- 4K:3分49秒から(4k 30FPS 10bit 4.2.2 h.264)
- 8K:15分16秒から(8k RED RAW)
- 12K:16分10秒から(12k Braw [Blackmagic Raw])
各解像度での動作の印象をまとめました。↓
- 4K24p
4K24pだと再生直後の負荷のスパイクが50%ほどに見えますが、Pコア(重い処理を担うコア)は半分以上は遊んでいるのでまだ余力があります。
- 4K60p
4K60pでもスパイク時は60%ほどで、グラフィックボード(RTX3090)よりも余力があります。動画素材はSony α7S3による422の8bitと10bitですが、24pでも60pでもそこまで大差がないように見えます。
- 8K24p
不思議なことに、同じRED RAWでも5Kや6Kでは重いのに、8Kや12Kのほうがまだ軽いんですよね。シークバーも辛うじて追従しています。タイムライン解像度は4Kなので、その整数倍ではない中途半端な解像度だと処理が重くなっちゃうんでしょうか。
この動画では8Kでも「CPUが十分に活用されていなくてまだ余裕がある」と言っていますが、そのほとんどはEコア(主にバックグラウンド処理を担う高効率低性能なコア)なので、実質的には8Kであっぷあっぷ状態です。動画でも、「8KならPremiere Proのほうが動作が軽いのでおすすめ」と言っています。
なので、8K映像+ノードを使うとなると、最適化メディアの生成やタイムラインプロキシモードに頼らざるを得なくなるでしょうね。しかもゴリゴリの編集には耐えられそうにはないので、色々と制約が付きそうです。
冒頭で言った「工夫が必要」というのはこういう意味です。でも対応さえちゃんとすれば、十分に使えるスペックだと感じます。
というかむしろ最適だと言えます。
Davinci Resolveはグラフィックボードに大きく依存するソフトなので、コスパを重視して、プロキシを使用することを前提にして書き出し(デリバー)の時間さえ我慢できるのであれば、Core i9が最適解の1つだと言えます。
動画クリエイター用のIntel製CPUといえばXeon W-3345などのXeon W-3000シリーズのワークステーション、或いはXeon GoldとかXeon SilverといったXeon SPのマルチCPUのほうが動作の安定性は確かに上でしょうけど、値段を考えると一般人は手を出しにくいし、しかもその恩恵は実感として得にくいものがあります。
更に言うとXeon SP構成にはデメリットもあります。Davinci Resolveだけに限っていえばXeon Gold1枚(第3世代Xeon SP)とかよりもXeon Wのほうがパフォーマンスは高くなる可能性が高い。
- Davinci Resolveはシングルコア性能が高いほうが有利
- 例えばXeon W-3345のシングルスコアは約2600、Xeon Silver 4316は約2400、Xeon Gold 6330は約2000、Core i9-13900Kは4700で圧倒的にスコアが高い
Intel Core i9で満足出来ない人にはワークステーション用のXeon W-2400&Xeon W-3400あたりを比較検討するのもありかもしれません。
Intel Xeon W-3400シリーズ(LGA4677, W790チップセット)
- インテル® Xeon® W プロセッサー・ファミリー
Intelの公式ページ。
ここまでくるとXeon W-3400シリーズと同時に比較したくなるのがコストよりパフォーマンスを最優先にした第4世代Xeon SP(Xeon Gold 6400シリーズ, Xeon Silver 4400シリーズなど)です。もはやロマン。
でも、Xeon GoldはTDPが高いのでワークステーションとしてはちょっと構成にも迷う・・・やはりSilverあたりが無難?でもSilverはシングルコア性能が低いので悩む。
例えばXeon SPでこういう構成や前提ならまだ意味があると思います。
- Davinci Resolve以外にも、もっと重い処理のソフトウェアを使う予定がある
- 色んなソフトを同時に扱うなどマルチタスクが多い
- 最低でも2つ以上のマルチCPUにする予定がある
- Xeon Wで想定しうる構成よりもメモリを2倍以上積む
- グラフィックボードを2枚以上差す
でも、編集内容によってはXeon Wより重い可能生もある。(実際触ったことないので未知数だけど)
書き出し速度やマルチタスク性能は確実に上がるでしょうが、やはりコストとのバランス的にはXeon Wのほうが良いと感じます。上で話したこの辺のモヤモヤを次の項で整理します。
第4世代Xeon SPと第4世代Xeon Wの比較、所感、ランク付け
これらのランキングは私の所感によります。
編集時処理能力のランキング
- Xeon W-3455
- Xeon Gold 5418Nの2ソケット
- Core i9-13900K
もちろん編集内容によるので一概には言えませんが。
関連
そもそも「Davinci Resolveに必要なCPUってどんなの?」とか、「Davinci ResolveでのCPUの役割って何?」みたいな疑問点は下記リンクで紹介しています。
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